西部劇の町を再現! ゴーストタウンをテーマパークに変えた遊園地王
文・写真/角谷剛(米国在住ライター / 海外書き人クラブ ) カリフォルニア州には300を越えるゴーストタウンがあるといわれている。その多くは19世紀中頃のゴールドラッシュ時代に栄えた金鉱や銀山が寂れていったものだ。文字通り一攫千金を求めて世界中からカリフォルニアに押し寄せた人々が急ごしらえに町を作り、そしてブームが去ると共に人々が町からいなくなった後は、たちまち見棄てられた無人の廃墟となった。 写真はこちらから→西部劇の町を再現! ゴーストタウンをテーマパークに変えた遊園地王 現在では、カリフォルニア州に存在するゴーストタウンの多くが観光地として再現されている。 開拓者の子孫である歴史への誇りを胸に抱くアメリカ人は今でも多く、いわゆる「Wild Wild West」時代を偲ぶことができるスポットは人気の的だ。
「三毛猫」のような山肌を持った銀山の歴史
今回紹介するカリコ・ゴーストタウン公園はその中でも観光客がもっとも訪れやすい場所の1つである。ロサンゼルスとラスベガスのほぼ中央に位置し、どちらからも3時間程度のドライブで到着することができる。高速道路の出口にはホテルやレストランもある上、公園まではほぼ1本道で迷いようがない。妙な言い方だが、賑やかなゴーストタウンなのだ。 Calico(三毛猫)という奇妙な地名は周辺の岩石がそのように見える色のグラデーションを作っているためと思われる。カリコの歴史は他のゴーストタウンに比べるとやや新しい。既にカリフォルニア州のゴールドラッシュが終わっていた1881年に、金ではなく、銀を採掘するために人々がこの地に集まったことが始まりである。カリコのシルバーラッシュがピークを迎えたのは1887年で、その頃の人口は1200人に達し、付近には500を越える鉱山と、多くのサルーン(酒場)やチャイナ・タウンまでがあったといわれている。 しかし、1890年に上院議員ジョン・シャーマンの主導で連邦政府中央銀行が銀を有価証券で購入する法案が成立すると、銀の市場価格は暴落し、銀採掘は採算が取れなくなった。するとたちまちシルバーラッシュは終焉を迎えた。多くの銀山が閉鎖され、あっという間にゴーストタウン化した。その年、カリコの人口は80人に減り、1907年には完全に無人となったといわれている。 日本の年号では明治10~30年代に栄え、そして滅んでいった町である。