鉄板ネタのすべらない話ばかりする人は認知症のリスクが高まる?「脳がサボっている会話」に要注意
新ネタを脳に上書きしていく
脳が長持ちする会話を支援する手法として提案している共想法を実際に行う際に、テーマを設定して集まっていただいても、テーマに沿わない自分の話ばかりする方がいらっしゃいます。そういう方の話の多くが武勇伝なのですが、ひと通り話し尽くして満足すると、その後は参加をやめてしまいます。「会話支援手法ってこんなもんか」と思っておられたのでしょう。 武勇伝と同様、一度ウケた話は、何度も言いたくなるものです。それを「十八番ネタ」として隠し持っておくのも良いのですが、いつでもどこでも誰にでも自在に取り出せるから脳が働いているとは言えません。 認知症の方が同じ話を何度も繰り返す特徴はよく知られています。それは、認知機能が下がっても「十八番の話はできる」からです。 脳をサボらせ、エネルギーの谷に引き込まれないようにする最善の手段が、「鉄板ネタ」で「すべらない話」よりも、「すべるかも話」にトライすることです。そのためには、普段やらないことをやってみること。ライフスタイルに定着しているルーティンをあえて壊して、計画実行機能を駆使してみることです。 面白い話は考えようとしなくても、身の回りに転がっています。そして、面白いと思えれば記憶に残り、新ネタとして脳に上書きされていきます。新ネタを見つけられたら良いなという気持ちを持ちつつ頭を働かせ、「すべるかも話」をどんどん試していきましょう。
大武美保子