「捨てる」というと激怒されるのはなぜ? 親と喧嘩にならない「実家片づけ」のコツ
親のために、よかれと思って「実家を片づけよう」と子から提案しても、方法を間違えると険悪な結果に (泣) 。 大事なのはまず準備、そして伝え方。円満な実家片づけは、自宅の片づけとは少し違うやり方で進めましょう! 【画像を見る】子が要らないものを捨てるとき、親の気持ちは複雑かも...? 「捨てるだけじゃない実家の片づけ」今回は、人気ブロガーのカータンさんが描く「実家片づけ」の体験マンガをご紹介。 また、親が「捨てる」ことを嫌がる理由を、幸せ住空間セラピストとして数多くの片づけの悩みを解決してきた古堅純子さんにお聞きしました。 ■親子ゲンカ勃発! 人気ブロガーが描く実録「実家片づけ」 ▶︎描いたのは カータンさん コミカルなイラストで日常を描いたブログ「あたし・主婦の頭の中」が人気のブロガー。近年は高齢の親の話を中心に投稿。悩みながら体当たりで介護する様子が共感を呼ぶ。近著に『お母さんは認知症、お父さんは老人ホーム 介護ど真ん中! 親のトリセツ』 (KADOKAWA) 。 カータンさんは、高齢のお母さんが暮らしている物があふれた実家を片づけることに。要らないものをテキパキ捨てているとと、背後に視線を感じます。 ある程度片づけたところで、捨てたはずの「フルーツ絞り器」がテーブルの上にあることに気づき、再び捨てようとするカータンさん。すると、お母さんが「帰って! ママの大切なものどんどん捨てて! ママのものは触らないで!」と大激怒。そう、カータンさんが捨てようとしたフルーツ絞り器を、「大切なものだから」とお母さんが戻していたのです。 もう使っていないものなのに、どうしてそんなに怒るのか。その夜カータンさんは、ハッと思い出します。昔、お母さんが毎日家族のためにジュースを作ってくれていたことを。 自分にとっては古びた絞り器だけど、母にとっては大切な思い出の品だったのかも...と、反省するカータンさんなのでした。 ■実家の片づけは親が元気なうちに実践すべき これは数年前、私が実家を片づけたときに起こったこと。母の大事なものをこっそり捨てようとしたりして、申し訳ないことをしました。 今私の母は認知症が進み、「要る」「要らない」の判断をするのが難しい状況……。親が元気なうちに、親と相談しながら実家の片づけができるって、子どもにとっても非常に貴重な時間なのだと、今しみじみ思います。(カータンさん) ■幸せ住空間セラピスト・古堅純子さんに聞く! なぜ親は「捨てる」と怒るのか? カータンさんのように、実家のものを捨てようとして険悪ムードになってしまった経験がある人も多いのではないでしょうか。子どもが「捨てる」というとなぜ過剰なほどに親が怒るのか? その理由を、片づけのプロに聞きました。 ▶︎教えてくれたのは 古堅純子さん 「捨てられないならムリに捨てなくていい! 寄せて景色を変えよう!」という新感覚のお片づけメソッドが評判の片づけのプロ。YouTubeチャンネル「週末ビフォーアフター」も人気。著書累計部数は65万部。近著は以下。 『物に囲まれてすっきり暮らす景色を変える片づけ』 5,000軒超の片づけの悩みを解消してきた古堅さんが、物を捨てずに「寄せて景色を変える」片づけ術を伝授。1,650円/大和書房 ■「すっきりさせたい。でも捨てたくはない」という人が多いから 「そろそろ捨てなきゃ」「物を捨てたらきっとすっきりするわよね」と自分ではいいつつ、実際には捨てられないのが親世代の多数派。なら捨てなくていい、捨てずに解決しましょうよ、と私は思います。(古堅さん 以下同) ■「捨てて」って実は子どもの都合だから 「いずれ片づけの負担が私にくるから」など、実家を片づける理由が子どもの都合であればあるほど、親はその意図を感じ取ってかたくなになりがちです。「物を捨てることが、親のためかどうか」を一度考えてみるとよいかも。 ■「捨てる」と不安でさみしい気持ちになる人が多いから 若いうちは「捨ててもまた買えばいい」と思えるけれど、高齢になると「もう手に入らないかもしれない」「物が減ると心にもぽっかり穴が……」と不安でさみしく思う人が多いです。捨てないことは、弱くなった心を守る行為でもあるのです。 ■物はその人の歴史だから 子どもにしてみれば、それは使っておらず、汚れていて、時代遅れのものかもしれません。ですが親にとっては、物=自分であり、自分の経験や思い出が詰まった歴史。だから「捨てて」といわれると悲しくて傷つくのです。 古堅さんによると、『物を粗末にしない』が親世代の美徳で、『捨てる』はかなりのネガティブワードなのだとか。人から「捨てろ」と言われると抵抗したくなる気持ちも、長く持っているものほど捨て難くなる気持ちも、よくわかります。 親の気持ちに寄り添って、片づけを進めていきたいですね。 マンガ/カータン 編集協力/宇野津暢子 文=さいとうあずみ