苦境札幌ついに浮上…上昇阻んだ異常事態「さすがに難しい」 “居残り組”明かす「復調の要因」【コラム】
低空飛行の札幌が最下位を脱出、J1残留圏内が視界に
シーズン序盤から低迷し、単独最下位で低空飛行を続けてきた北海道コンサドーレ札幌がJ1第29節の川崎フロンターレ戦(2-0)で今季初の3連勝を達成。ついに最下位を脱出し、J1残留圏内との勝点差も7へと縮めた。 【動画】「何度見てもかっこいい」 大量フラッグで圧巻の雰囲気を作り出した札幌サポーター J2降格を免れる可能性を見出しつつあるが、経験豊富なミシャことミハイロ・ペトロヴィッチ監督は「残留を成し遂げるためには残り試合も勝たなければいけない。手放しで喜んでいい3連勝ではない」と手綱を引き締め続けている。 そんな札幌だが、低迷の予兆は昨季からあった。2023年シーズンは最終順位こそ12位だったものの、後半戦だけを見れば17試合でわずか3勝。前半戦に蓄えた勝点でなんとか乗り切った。もはや予兆というよりもこの時点から低空飛行を開始していたとも言える。 その状況下でオフに田中駿汰、ルーカス・フェルナンデス(ともにセレッソ大阪)、小柏剛(FC東京)、福森晃斗(横浜FC)ら近年の札幌を支えてきた主軸が一気に移籍。それによる戦力ダウンを補うべく例年よりも多めの新戦力獲得を行ったものの、戦術の成熟度が拠りどころだったミシャのチームが主軸を複数失うダメージは大きい。 新加入選手も実力者が揃ってはいたが、現在の絶対的な守備の柱である岡村大八でさえ定位置を確保するまでに加入から1年以上を要したように、高い戦術理解度を求めるミシャのチームですぐに主軸とはならない。さらに開幕前のキャンプから多数の負傷者が発生し、十分なチーム作りができないままリーグ戦が開幕。「誰かが怪我から復帰したかと思えば、また誰かが怪我で離脱する」(ペトロヴィッチ監督)という状態で戦った序盤戦で躓き、そこから立て直せず第15節から8連敗を喫し最下位に沈む苦境に陥ってしまったのだ。 冒頭で記したように、そのチームが3連勝で巻き返すまでに至った。要因としては大きく言って、負傷者復帰と大型補強の2つが挙げられる。後者については無所属だった大崎玲央が移籍期間前に加入したのを皮切りに外国籍選手を中心に計7名の新戦力が加わった。基本的に現有戦力を重用するミシャ体制の札幌がこれまでシーズン途中のフィールドプレーヤー補強が少なかったことを考えれば、思い切ったマネジメントを敢行したと言える。