コロナ禍に関係なく、食べごろを迎える野菜や果物。「行き場を失った」食材が食卓に届くまで
畑、そして家庭の食品ロス問題
卸先を失った食材を食卓に届ける食べチョクのサービスは、食べられる食材が廃棄される「食品ロス問題」への対策にも直結している。 秋元さんは、「畑」そして「家庭」での2つの食品ロスについて、こう語った。 「私たちが直接貢献できるのは、畑での食品ロスです。大量に作り、売れないから畑に余ってしまう。生産者さんが販路を複数持って、状況に応じて販路を選べるようにし、生産調整で捨てているものを他の販路で売ることができれば、畑での食品ロスもなくなるのではないかと思います」 「家庭でのフードロスについては、作り手の顔が浮かぶと、捨てずにしっかり食べ切ろうという思ってくださるのではと思います。食材も『生身の人間が作った生産物』であるということを、多くの人がコロナを機に認識したと思います。それを意識すると、消費側の食品ロスも少なくなってくるんじゃないかと思います」
「生産者のこだわりが正当に評価される世界を作りたい」
秋元さんは、生産者の人々にとって食べチョクは、「一つの販路を新しく提供している形」とする。 生産者主体で、付加価値をのせて、珍しいものを作ったり、味にこだわりを持って作ったりし、自分で値段を決めて、中間業者が入らないので利益率を高く売ることができることが食べチョクの魅力だ。 消費者は生産者の顔が見え、思いに触れることができ、生産者も直接、「おいしかったよ」「ありがとう」という声をもらうことができる。 「生産者のこだわりが、正当に評価される世界を作っていきたい」と秋元さんは語る。 「直売所やJAさんと並行して、食べチョクも一つの出荷手段として使われている方もいます。何かあったときに相談できれば解決できるというような、生産者さんにとっては、全部任せてもらえるような存在でありたい」 「生産者ファーストというのを掲げて、生産者さんに価値提供できることを考えています。自分の中では、日本の農業に対しての価値提供は1%も達成できていないと思うので、まだまだ追求していきたいなと思っています」
現在、食べチョクを利用している農家などの生産者は40、50代の、いわゆる農業界での「若手」が多いという。 食材の写真を撮ってアップロードしたり、メールでやり取りしたりということができる年代が利用しているからだ。 一方で、農水省によると日本の農家の平均年齢は67.0才。高齢の農家の人も食べチョクで販売できるような支援を進めている。 6月には、佐賀県との提携も発表し、地方の高齢の農家へのサポートを始めた。秋元さんは「今後1年など中長期で、解決していきたい課題です」と話した。