【県内医療関連産業】日本の中心地を目指せ(10月3日)
郡山市で開催された国内最大級の医療機器設計・製造展示会「メディカルクリエーションふくしま2024」は、本県が全国の医療関連産業をけん引する重要な位置にあることを改めて国内外に示した。本県復興の核の一つとして取り組んできた成果が花開きつつある。本県が持つ「ものづくり」の力を人材育成に生かし、医療と医療関連産業の日本の中心地とするため、さらに情報発信に力を注ぐべきだ。 会場のビッグパレットふくしまには昨年を35ほど上回る255の企業・団体が出展した。参加人数も昨年より600人以上多い4139人を数えた。20回目を迎えた展示会だが、規模拡大と定着には東日本大震災後に開所した「ふくしま医療機器開発センター」の存在が大きい。 開発センターは、本県が全国に先駆けて取り組む「次世代医療関連産業集積プロジェクト」の拠点として2016(平成28)年、郡山市に設立された。医工連携による医療機器の開発・実用化推進に向け、高度なものづくり技術を持つ企業が医療機器分野へ参入する後押しをしてきた。
人の命や健康に直結する医療分野で、機器や器具は常に必要とされているため、景気の影響を受けにくい分野だという。県内には自動車部品が主力だったメーカーが、技術を発展させて医療機器製造を基幹事業にした例もある。 医療機器産業の世界の売り上げは2022年の統計で4810億ドルに上る。日本は全体の5・4%を占め、米国、ドイツ、中国に続き4番目だ。国内の市場規模は4兆1858億円で、今後ますます拡大が見込まれている。本県の昨年の医療用機械器具部品出荷額は251億円で、13年連続1位となっている。国内外の医療産業界から本県のものづくりは大きな注目を集めている。 医療関連産業が充実すれば、医師や看護師でなくても医療に貢献できるという一面がある。医療分野で役立ちたいと考える子どもが、将来性のある県内関連企業で働く機会も増えるはずだ。世界情勢が混迷している中で、医療産業を自国で完結できる環境整備は食料自給率と同じように重要となっている。本県がその中心となるよう関係者の一層の努力を望む。(関根英樹)