【アーセナル対マンC】アルテタ監督「師・グアルディオラ」超えに足りなかった「一手」
【イングリッシュ・プレミアリーグ アーセナルvsマンチェスター・シティ 2021年2月21日(日本時間25:30キックオフ)】 【動画】アーセナル対マンチェスターCは0対1で「ペップ・シティ 」の勝利 開始早々にゴールを奪われてしまったアーセナルだが「シティを苦しめた試合」にはすることができていた。 前回の対戦で、アーセナルはジョアン・カンセロのポジション取りに困惑させられた。それまでの偽サイドバック戦術というのは、ビルドアップの場面で中央の人数を確保する、というものだったが、その試合でカンセロが見せたのは、マークの受け渡しを妨害し、可変フォーメーションを成立させないための動きだった。一気に広まった「カンセロロール」という言葉だが、浸透したきっかけになったのが前回のアーセナル戦だった。 この試合では、アーセナルのミケル・アルテタ監督は見事に対応した。前回は、状況に応じて外に開くか中に絞るかと役割を変えていくブカヨ・サカの部分がカンセロに惑わされて機能しなくなってしまったが、今回はサカを積極的にカンセロにつけることで、チームとしてそこを気にしないことにした。 どうやらアルテタ監督は、厄介な選手は互いに消し合ってでも試合から外す、ということを選ぶタイプ。チェルシー戦ではヌゴロ・カンテをエミール・スミス=ロウに見させて試合から消した。
■勝つための一押し
しかし、開始早々の失点は重くのしかかった。攻撃に出る場面で、サカとキーラン・ティアニーの左サイドがストロングポイントになるアーセナルだが、サカとカンセロが消し合う状態からのスタートになるために、サカにボールが渡ってもパスコースは限られていた。 サカからは、ティアニーに預ける、という選択肢しかなくなってしまい、シティはそこをケアすれば大きな心配はなかった。 相手を機能不全にする、ということをクリアしても、自分たちが勝てるかは別だ。負けない、という結果は得やすくなるが、勝てるかどうかは他にかかっている。 ペップ・グアルディオラ監督からすれば、リードを奪っている状態であれば、カンセロの部分を対応されても問題なかった。それによってサカが消え、ティアニーの対応も容易になる。相手の攻撃でもっとも良い部分を消せば、負けない可能性は高くなる。勝てるかどうかは別だが、リードがある。別にそのままでも構わなかった。 結局、アルテタ監督は、グアルディオラ監督を焦らせる策は講じられないまま試合を終えた。 予め準備しておいたカンセロの対応だけでなく、先制点を奪われた攻撃に対する素早い修正も、ビルドアップでシティのプレスに負けない姿も見せたが、負けない、までのものだった。勝つためのあと一押しは最後まで出てこなかった。