「障害のある兄弟姉妹の面倒を一生みなければダメ?」自身も「きょうだい児」の女性弁護士(42)「将来はよろしくねと幼少期から言われがちだから」
── 私自身、親なきあとのことを話し合うのは怖い部分もありますが…。 藤木さん:やっぱり親の終活ってアンタッチャブルですよね。きょうだい児の方たちに、私の著書を親に渡せるか渡せないかって聞いたら、半分は渡して読んでもらい、将来の話ができたとおっしゃいましたが、もう半分の方々は怖くて渡せないと。でも、親が少しでも元気なうちに話しておくことが大事です。私も父が病気をしたあとに話せるようになったので、タイミングもあるのかなと思います。
■家族まかせにならず、社会で支えられる制度が必要 ── ネットでは、「障害のある子にきょうだいを作るなんて」「障害のある人が子どもを産んだら子どもがかわいそう」といった声も見られます。きょうだい児の私自身、とても傷つく言葉だと感じるのですが、藤木さんはどう受け止めていますか。 藤木さん:そうですね…基本的にこういう発言は、無責任だと感じています。私も実家を出るとき、「お父さんや弟がかわいそう」と言われましたが、「かわいそう」と言われた側の気持ちはどうなるのだろうと。
── そうですね。「きょうだい児はかわいそう」と言われても、喜びや幸せを感じるきょうだい児がいるのも事実で。一概にかわいそうと言わないでと、反論したい気持ちもあります。 藤木さん:障害のある子の下にきょうだいを設けることも、障害のある方がお子さんを設けることも、最終的にはご本人が判断することです。問題になりやすいのは、重い障害のある子をもつ親御さんが、きょうだい児の自由を制限してしまうこと。例えば、きょうだい児は小さいころから親に「障害のある兄弟姉妹のために尽くすのがあなたの人生」と押しつけられ、「実家は出ちゃいけない、こういう仕事に就くのが当たり前」と強制されてしまうと、抜け出すのがすごく難しい。だからこそ、生まれてきた子の人生は自由であるということを発信していきたいんです。
社会の理解やサポートときょうだいの自由は、相互に関係があると感じています。だから「かわいそう」って言っている時間があるなら、具体的に何かしようよって。私は弟といるときに周囲からジロジロ見られたり、影で悪口を言われたりと、社会の冷たさを見てしまった部分が大きかったので。少しでも社会に温かく受けとめてもらえれば、それだけでありがたいですし。 ── 多様性が浸透してきましたが、さらに障害者やきょうだい児に対して社会の理解が進むといいですよね。