「小池都知事は責任を果たせ!」命の選別が迫る医療現場…杉並区長が“無策すぎる都政”を告発
新型コロナウイルス感染者の増加が止まらない。 「このままでは、重症者に取り付ける人工呼吸器やエクモ(人工心肺装置)が足りなくなる」と医療現場から悲鳴が上がり始めている。手慣れた人材の不足も目立つ。そうなれば、助かる人も助けられなくなるだろう。もしくは、生還の見込みがなさそうな人から装置を外して、少しでも見込みのある人に装着しなければならなくなる。 【写真】この記事の写真を見る(5枚) だが、そうした「命の選別」については、危機が目前に迫っているにもかかわらず、政府や東京都は指針やガイドラインを示していない。病院や医師がなし崩し的に、それぞれの現場で「決断」を迫られる事態になりかねないのだ。 これでいいのか。 「生還できた人と、できなかった人の差は何なのか。国や都は早急に情報を公開して国民的・都民的な議論を行い、トリアージ(治療優先度の順位付け)のガイドラインをつくるべきだ。命の選別という重責を医療現場だけに押しつけられない」。このところ日々の新規感染者数が100人程度にのぼっている東京都杉並区の田中良区長が1月8日、小池百合子知事に要望書を提出した。 その真意を田中区長に聞く。
オーバーシュートの段階に入った
――東京都内では1月に入ってから1日の新規感染者が2000人を超える日が続きました。杉並区の状況はいかがですか。 田中良・杉並区長(以下、田中) 日々の新規感染者数は、12月中盤までは多くても20~30人程度でした。それが年末年始に5人、10人と増えて、あっという間に100人になりました。オーバーシュート(感染者の爆発的な急増)の段階に入ったと思います。 第1波の感染拡大時、政府の諮問委員会の尾身茂会長(当時は専門家会議の副座長)が「オーバーシュートの前に医療体制がひっ迫する。医療崩壊といわれる状況はオーバーシュートが起こる前に起きる」とおっしゃっていましたが、まさにその通りになって医療が追いつかなくなっています。杉並区では病院やホテルに収容できない「自宅療養者」が150人を超え、200人を超えるのは時間の問題となっています。 ――病院の窮状はいかがですか。