寺田祥、『地元SGを勝ちたい』その一心で駆ける渾身の”ピン勝負”【下関ボート・SG「チャレンジカップ」5日目】
◇23日 SG「第27回チャレンジカップ」5日目(山口県・下関ボート) ◇コラム「松ふね屋 チャレンジカップ特別編」 魂の先マイには訳がある。4年ぶり4度目のグランプリへ…。そうではない。この準優を勝ち、優勝戦を勝ちたい。この水面で、この歓声を浴びて勝ちたい。その一心だった。優出を決めた寺田祥(46)=山口=の白いカポックに、地元ファンの歓声が降り注いだ。 準優9R。2コースから土屋智則の鋭発にスリットを先んじられるも、伸び返して強力に1マークを先マイ。他艇を一切寄せ付けぬ圧勝劇で優勝戦進出を決めた。 「全部いいけど、河合(佑樹)君のターンみたいなのはない」。足の手応えは節イチとまでは言えない。それでも「出足も悪くないけど伸び寄り。乗り心地も問題ない」と総合的なバランスの良さに手応えを口にする。優勝戦は3号艇となるが、決してスローとは決めていない。「イチかバチかの3カドというのも、直前で考えると思います」。無難に戦うことはしない。慣れ親しんだこの水面。待機行動から優勝への「最短距離」を導き出す構えだ。 4年ぶり4度目となるグランプリ出場へは優勝が唯一絶対の条件となる。しかし、そこに寺田のモチベーションはない。 「ここ(下関)であるという時点で、優勝を狙って来た。グランプリは結果だと思います」 あの歓声をもう一度浴びたい。いや、浴びねばならない。地元唯一の優出者として。グランプリのためではない。地元SGを勝ちたい。ただ、その一心で駆ける渾身(こんしん)の”ピン勝負”だ。 ▼松下雄一郎(まつした・ゆういちろう) 1970年生まれ、54歳。神戸市出身。元デイリースポーツ記者。プロ野球阪神担当として2315回続いた名物コラム「松とら屋本舗」の筆者。「いちタイガースファンに戻るため」退社し、今年11月中日スポーツ入社。大好きなボートレース担当として健筆をふるう。
中日スポーツ