【高校ラグビー】京都成章が初決勝 後半ロスタイム“魂のタックル”で逆転トライ阻止
◆全国高校ラグビー▽準決勝 京都成章24―21東福岡(5日・花園ラグビー場) 準決勝2試合が無観客で行われ、京都成章はラストプレーでFB小林修市(2年)が好タックルで逆転負けの危機を阻止するなど、今大会を通して光る堅守で東福岡から初勝利を挙げ、初の決勝進出を決めた。2連覇を狙う桐蔭学園(神奈川)は大阪朝鮮(大阪第2)に前半苦戦したが、後半に1年生FB矢崎由高の3トライなどで突き放して3大会連続決勝へ。9日の決勝で桐蔭学園が勝てば2大会連続3度目、京都成章が勝てば初優勝となる。 無心で追いかけた先に大きな勝利が待っていた。3点リードで迎えた後半ロスタイム。逆転トライを狙って敵陣10メートルライン付近から独走した相手ウィングを、ゴール手前でタックルしたのは、1回戦以来となるFBに入った小林だ。「何も考えずに走って。追いかけました」。タッチラインの外に押し出すと、ノーサイドの笛が鳴った。初の決勝進出を決め、湯浅泰正監督(56)は「他の監督さんなら冷静に見られるが、私はそんなことできませんでした」とコーチらと熱い抱擁を交わして大喜びした。 悪夢を振り払うプレーだった。前回大会、準々決勝の常翔学園(大阪)戦では後半ロスタイムに逆転されて涙をのんだ。その後、ミーティングで幾度となく当時のことが話題に上り「何回も映像を見て忘れないようにしていました」と小林。苦い経験から「走ることの大切さ」をチーム全員が実感。最後のワンプレーは、まさに努力の結晶だった。 試合前夜は宿泊先で、ラグビーボールサイズの巨大オムライスを分けて食べるのがお決まり。ホワイトソースがかかった卵の上には、ケチャップで対戦校の名前が書かれている。小林も「みんなでおいしいって味わっています」と験担ぎ。その成果もあってか、自慢のディフェンスは試合を追うごとに成長。複数で襲いかかる「ピラニアタックル」の“栄養源”になっている。 準々決勝までの4試合で計1トライしか許さなかったディフェンス巧者。東福岡には3トライを許したが、これまで花園で2戦2敗だった難敵を“三度目の正直”で破った。初Vを目指すフィフティーンにはさらなる目標がある。昨年10月に女子ラグビー部が、第3回全国U―18女子セブンズ大会で初優勝。前半8分に4戦連続となるトライを決めたロック本橋拓馬は「(男女)アベック優勝できるのは成章だけ。ここまで来たら優勝したい」。思いが詰まった夢をつかむまであと一つ。全員で喜ぶ舞台は整った。(菅原 美沙) ◆小林 修市(こばやし・しゅういち)2003年8月24日、京都市出身。17歳。勧修中ではラグビー部に所属し、3年時に全国ジュニア大会の京都府代表に選出。京都成章では今大会の1回戦で花園初出場。ポジションはウィングやFBなど。身長175センチ、78キロ。目標の選手はニュージーランド代表ウィングのリーコ・イオアネ。
報知新聞社