「定年後にゆっくりと趣味三昧」は大間違い。「いつか暇ができたら」は怠慢の言い訳。やりたいことを「今」始めるために大切なひとつのこと
あなたは「趣味は何ですか?」と聞かれて、堂々と答えられる趣味がありますか?「今は忙しいけれど、時間ができたらやりたい趣味がある」、という方も多いのではないでしょうか。多数の趣味を持つ作家・国文学者の林望さんは、「趣味は本気で取り組むからこそ楽しくなり、思いがけない自己実現にもつながる」と語ります。そんな林さんの著書『結局、人生最後に残る趣味は何か』より一部を抜粋して紹介します。 【書影】「趣味は本気で取り組むからこそ楽しくなる」多数の趣味を持つ作家・国文学者の林望さんが伝える『結局、人生最後に残る趣味は何か』 * * * * * * * ◆「定年後は趣味三昧(ざんまい)」という大きな誤解 今、仕事や育児、介護などに追われている人の多くは、「忙しくて、趣味の時間どころではないよ」「まあ、定年になったら、思う存分趣味に情熱を注ぎたい」などと考えているかもしれません。 しかし、「今より自由な時間が増えたら趣味を楽しもう」という発想は大きな間違いです。 「暇有るを待ちて書を読まば、必ず書を読むの時無けん」という箴言(しんげん)もあります。 いつか暇ができたら……というのは、自分の怠慢に対する言い訳のようなもので、世の中では、忙しい人ほど、案外に豊かな趣味生活の時空を確保していたりもします。 ですから、今日のわずかな時間をも無駄にせず、努力して趣味にあてる、という発想に今すぐ転換する必要があります。もう少し具体的に考えてみましょう。 仮にいま、会社員として仕事をしている人のことを考えてみると、1日少なくとも8時間程度を会社に拘束されていることだろうと想定されます。
◆1日に自由に使える「趣味」の時間 そこで、24時間から8時間を差し引き、さらに通勤時間や食事などの生活時間、睡眠時間などを引いていくと、自由に使うことができるのは、せいぜい2時間程度でしょうか。 もし職住接近で、通勤時間がごく少ないのであれば、もう少し趣味にあてる時間を確保できるかもしれませんが、多くの人は、そういうわけにもいかないことでしょう。 また、子育てに追われている人や、年老いた親たちの介護をしている人ともなれば、1時間を作るのもやっとかもしれません。 重要なのは、そのわずかな時間をどう使うかです。お酒を飲んでストレスを解消しようと思ったら、趣味を楽しむのは不可能です。 アルコールを口にすれば、酔って何もできなくなり、もはや趣味どころではなくなります。 1日で自由に使える時間は、たった1、2時間なのですから、この時間を何よりも優先すべきです。
【関連記事】
- 人生には趣味が必要だ。嫌われ者とは一線を画する「名誉ある孤立」を保つ人が持つ、「秘密のポケット」の中の宝物とは
- 友だちを増やすために「趣味」を始めるのは間違い? 趣味を増やしても友人は増えない
- 脳の活性や自己肯定感アップになる<自分史づくり> 夫の会社倒産や病気、戦争体験…人生の挫折や失敗を受け入れるきっかけに。自分史活用アドバイザーが解説
- ロッチ・コカドが<40歳からの趣味探し>でミシンにたどり着いたワケ。「お笑いを一度離れて古着屋で働いたくらいの服好き。でも楽しくて仕方なかったからこそ、むしろ…」
- 「〈生きがいが必要〉と肩肘は張らず」「〈いい人〉はやめて本心をさらけ出す」精神科医が教える《老人性うつ》を遠ざける6ヵ条