なぜ仕事がデキる人ほど「無能な上司」になってしまうのか…善意のつもりが「部下に最も嫌われる」行動
■立場が変わると見え方まで変わる プレイヤー時代には、ここまでお伝えしたようなことがわかっていて、だからこそ任せようとしたり、メンバーの自主性を尊重しようとする人もいるでしょう。 ですが興味深いことに、なぜかマネジャーになった途端に、かつての同僚や部下の欠点ばかりが目につくようになることがあります。 お互いにプレイヤーとして切磋琢磨していたときは同僚も部下も尊重し合っていたのに、立場が変わることで見え方まで変わってしまうのです。 欠点ばかりが目につくと、どうしても感情的にイライラします。 そして、上司としてそのような振る舞いを隠そうと表面上は笑顔だったり、優しい言葉を使っていたとします。ですが、マネジャーのイライラは全身から“見えないオーラ”として放たれていて、メンバーには伝わってしまいます。 ■諸悪の根源は、頭の中だけに存在する「べき論」 ニコニコしていても腹の中では「どうして仕事が遅いんだ」「どうしてこんなことがわかっていないんだ」「何度言ったらわかるんだ」という不満がたまっているわけですから、その状態でコミュニケートしても相手には伝わるのです。 結果、メンバーに嫌われるか、自信を喪失されるか、真っ向から反発されるか、陰口を叩かれるか、スネられるか、最悪の場合は部署異動や離職されてしまいます。 結果的にはマネジャー自身の上長からの評価が下がり、マネジャーの組織目標も未達成になります。 これらの諸悪の根源はマネジャーの“頭の中だけ”に存在する「べき論」です。 ここまでお伝えした「自分のような人間に育つべき」「自分と同じ結果を出すべき」「指示した通りに行動するべき」という正論が、このような事態を作り上げます。 しかも、この「べき論」はマネジャーの頭の中だけにしか存在しません。「べき論」の正体はマネジャー個人の正しさや思い込みによって生み出されたものだからです。