なぜ仕事がデキる人ほど「無能な上司」になってしまうのか…善意のつもりが「部下に最も嫌われる」行動
■部下が「最もされたくないこと」 マネジャーがメンバーとうまくいかない原因は他にもあります。 まず、マネジャー自身が「自分」を基準に考えてしまうことです。 優秀なプレイヤーからマネジャー、あるいはプレイングマネジャーになったような人はそもそも自分に自信があり、行動した結果として優秀な成績を収めます。 当然、さらに自信がつき「自分はできる人間だ」と考えるでしょう。 この自信は間違っていません。ですが、マネジャーになった以上は「自分はすごい」の感覚でメンバーと関わってしまうのは危険なのです。 自分がすごいと思っている状態では、メンバーが何かの結果を出したときに「私の言った通りにやったから成果が出た=私のおかげ」と考えがちになります。 要するに、メンバーの成果を自分の手柄にしてしまうのです。 ですが、メンバーからするとこれが最もされたくないことです。せっかく成果を出したのにメンバーからすると「上司に手柄を取られた」と考えてしまいます。 もしくは、メンバー自身が出した成果に対して「上司のアドバイスがあったから成果を出せたわけで、私ひとりでは出せなかった」と自信が形成されないのです。 ■「私のようになれ」は通用しない 一方で、今度は成果を出せなかったときを考えてみましょう。 自分はすごいと思っているマネジャーが、指導のもとで行動したメンバーが成果を出せなかったときには「どうしてこいつは“私みたいに”できないんだ」と考えます。 結果、メンバーを責めることになってしまい、メンバーは自信を喪失するか、マネジャーに対して苦手意識や嫌悪感を持ってしまいます。 マネジャーとメンバーでは同じ仕事をしていても同じ人間ではないことを、まず知ってもらいたいと思います。 ちゃんと指導したとしても、その内容をどう捉えるかはメンバー次第であり、個々によって違います。さらに受け取ったあとの行動=やり方も違います。 メンバーはメンバーの持っている引き出しの中でしか行動できません。 当たり前ですがマネジャーとメンバーではレベルも経験値も違うはずです。その違いの中で異なる捉え方と選択肢で行動するわけですから、最初からマネジャー側が期待する成果を100%出せるはずがないのです。 マネジャーが「自分」を基準にメンバー育成を考えてしまうと、仮に最初はメンバーがマネジャーを「すごい人だ」と思っていても、結果的に「メンバーの自信喪失」「メンバーとの関係悪化」などが起こります。 マネジャーからすると、上長から最初に「君と同じような部下を育ててくれ」と言われているわけです。ですが、マネジャーとメンバーたちはそれぞれ別の人間ですし、違う人生を歩み、異なる勉強や知識、考え方、肉体を持っているわけです。 それを無視して「私と同じになれ」は通用しないのです。