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マツダの決算 減収減益の中で好内容

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ITmedia ビジネスオンライン

ブランド価値販売と販売台数

 マツダは、悲願であったブランド価値販売をほぼ実現した一方で、それと引き換えに販売台数を落としてしまった。  マツダの販売台数がピークを付けた3年前の18年実績では、グローバル販売台数は、163万1千台を記録し、生産キャパシティが限界に達しようとしていた。当時の決算で「21年までは販売台数増加を毎年5万台程度に抑制する」という発言まで出た。21年とはアラバマ工場の稼働が始まる年であり、つまりそれまではクルマが売れても作れない状況だとマツダは見ていた。  そうした事情を背景に、レンタカー会社に買い戻し権を設定してまとめ売りするフリート販売などを大幅に抑制した。こういう大口需要は当然大きな値引きを求められるので、台数あたり利益を悪化させる。生産がネックになって販売台数増が見込めない以上、台当たり利益を下げるフリートを減らすのは妥当な戦略に思えた。もちろん通常販売の現場でも値引きを抑制する動きが加速した。  戦略としては正しかったはずのそのやり方が、オーバーシュートした。値引きの抑制を図った翌年には、販売台数を5万台増やすどころか7万台減らして156万1千台に落ち、中国景気の減速とコロナ禍に見舞われた今期は、ピークから21万2千台ダウンの141万9千台まで縮小してしまった。実は第7世代投入の効果により、北米では1月、2月の販売は好調で、波に乗ったかに見えたところで、ロックダウン騒ぎである。このあたりのマツダの運の無さは見ていて気の毒になる。  しかも販売台数の拡大を見込んで行った先行投資は、今更ストップできない。14年に操業開始したメキシコ工場や、現在進行形で建設中のアラバマ新工場など、生産能力の向上を進めて来たマツダとしては、今後、工場の稼働率を保つことも重要な課題であり、一周回って、台数を売らなくてはならない状況を迎えた。  かといって、今更ブランド価値販売は止められない。長年の努力が水泡に帰する。つまりなんとしてもインセンティブに頼らずに、販売台数を伸長させることが今後の課題となってくる。マツダは常々2%の顧客に満足してもらうクルマづくりを標榜(ひょうぼう)しており、数の論理で戦う方向には向かわないし、向かえない。だからどうあっても、ブランド価値販売によって高付加価値を達成するしか成長の方策がない。  日本ではすでに、ブランド価値販売が、買い替え需要にプラスに寄与し始めている。高い下取りで手元資金に余裕ができた顧客が、次の買い替えで、より高いクルマへと買い換える流れが回り始めている。米国でも高付加価値販売を実現した今、この次の買い替えサイクルまで、必死に耐える以外にマツダにできることはない。  それがうまくいけば、ちょうど北米戦略製品群であるラージプラットフォームの登場のタイミングで、日本と同じ現象が起きる可能性がある。マツダにとって辛抱の数年となる。  最後にちょっとだけ告知。このITmedia ビジネスオンラインで、27日から「新型コロナで経済死しないための方法」としてシリーズ原稿を4本執筆した。すでに3本は掲載されており、最後の1本は明日掲載の予定だ。零細起業の経営者に、経済的理由で自殺しないで欲しいという思いで書いた記事だ。ご一読いただけたら幸いだ。 1. ひとりで悩んでは出口が見つからない 2. コロナ禍での支払いの優先順位 3. 借金を返せなくてもヤクザは来ない (池田直渡)

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