喜多村緑郎が演劇集団「成美組」旗揚げ 「志を同じくする役者たち」河合雪之丞ら総勢6人と旋風巻き起こす
劇団新派の俳優・喜多村緑郎(54)が、河合雪之丞(52)らと総勢6人で演劇集団「成美組(せいびぐみ)」を結成したことが6日、分かった。12月6日に千葉・美浜文化ホールで旗揚げ公演(午前11時、午後2時の2公演)を行い、二人芝居「動物園物語」と舞踊「博多小女郎」を上演する。 歌舞伎俳優・市川段治郎(後に月乃助)として、9月13日に死去した師匠の市川猿翁(3代目猿之助)さん(享年83)から学んだことを生かし、新たな挑戦を始める。「旦那(猿翁さん)がテーマにしていた江戸歌舞伎の精神を現代劇でやりたい。そのために台本をじっくり読み込んで、徹底的に稽古をして、お客様に納得していただける娯楽をお届けしたい」と意欲を燃やす。 「動物園物語」は米劇作家オールビーの代表作の不条理劇。2007年にもミュージシャンの貴水博之(54)を相手に演じたが「当時、納得できずに終わって、ずっと心残りがあった。コロナ禍で時間に余裕ができて単行本を読み返したら『今なら登場人物の気持ちが理解できるのでは』と思えた」。自ら権利者に上演の許諾を申請して、劇場も確保。プロデューサー的な役割もこなし、現在稽古に励んでいる。 「成美組」の名称は、明治時代に初代喜多村緑郎らが結成し、新派の原型とも言われる「成美団」にあやかって命名した。「今後は新派だけでなく、志を同じくする役者たちと一緒に活動していきたい」。師匠の思いを受け継ぎ、演劇界に旋風を巻き起こす覚悟だ。(有野 博幸) ◆「動物園物語」で2役 ○…「動物園物語」は、米ニューヨークのセントラルパークで読書を楽しむピーターが、見知らぬ男ジェリーに出会うことから始まる不条理劇。緑郎は07年にピーター役を経験しているが、今回は2役に挑戦。午前11時の回はピーター役でジェリー役の河合穂積(47)と、午後2時の回はジェリー役でピーター役の喜多村次郎(44)と共演する。雪之丞が傾城を演じる舞踊「博多小女郎」は市川笑三郎(53)が「藤間可笑」名義で振り付けを担当した。 ◆喜多村 緑郎(きたむら・ろくろう)本名・神田和幸。1969年1月6日、新潟県生まれ。54歳。88年に国立劇場歌舞伎俳優研修を終え、同年初舞台。市川段四郎に入門し市川段治郎を名乗り、94年に3代目市川猿之助(猿翁)の部屋子に。2011年、市川月乃助に改名。16年に劇団新派に入団して2代目喜多村緑郎を襲名。妻は元宝塚の貴城けい。身長183センチ。
報知新聞社