初選出4人も…なぜ森保J代表にワクワク感を抱けないのか?
ただ、成長に必要不可欠な競争意識を高めるのであれば、ゴールキーパーも従来通り3人体制を堅持。その上で昨シーズンから出色のパフォーマンスを演じ続け、招集待望論が高まっていた東口順昭(35・ガンバ大阪)を復帰させてもよかったのではないか。 初招集された4人以外の顔ぶれは、森保ジャパンへの招集歴がありながら、主軸を形成するヨーロッパ組に押し出される形となってきた選手たちで占められた。 例えば約3年ぶりの復帰となった29歳のFW武藤嘉紀。今夏に神戸へ移籍し、約6年ぶりに国内組となった後半戦で5ゴール8アシストをマークした実績と、健在ぶりを示したフィジカルの強さを考えればもっと早く復帰させてもよかった。 復帰組が多く名を連ねているのは、選外となっても「しっかりと見てきた」という森保監督からのメッセージであり、指揮官が持ちあわせる優しさの表れでもある。もちろん全員が今シーズンのJリーグの舞台で、しっかりと実績を残してきた。 しかし、いずれも森保監督のもとで最低でも一度は招集され、力量が把握されている状況を踏まえれば、新戦力の幅を広げる意味でも、主力の4人以外はもっと大胆な顔ぶれにするのも可能だった。カタールワールドカップが来年秋に開催される関係で過密日程になり、国際親善試合が確保しにくい年であることを踏まえればなおさらだ。 「練習時間はたっぷりあるので、試合で起用されるチャンスを自分自身でつかみ取ってほしい、という見方をしていきたい。序列を崩すという意味では、経験の浅い選手が割って入っていくことも十分にあり得ると思っている」 復帰組や初招集組へメッセージを送った森保監督は、さらにこうつけ加えている。 「代表に入ってきてもおかしくない活躍をしている選手はまだ数多くいる。そのなかで選ばせてもらった今回のメンバーには、国内組にもまだまだこんなにいい選手がいるんだぞというのを、ウズベキスタン戦のなかで見せてほしい」 メッセージの意味は十分に理解できる。それでも大胆に試せる千載一遇のチャンスで、その優しさゆえに慎重を期す人選になってしまった点に、ワールドカップイヤーの初陣に臨む森保ジャパンにどうしてもワクワク感を覚えられない理由がある。 (文責・藤江直人/スポーツライター)