高齢者と外国人は優遇するのに…鉄道会社はなぜ「若者」にだけ冷たい? 「青春18きっぷ」改悪問題のウラで囁かれる「サービス格差」
大人の休日倶楽部パスが安すぎる
では、大人の休日倶楽部パスがはどれだけお得なのか。この冬は2024年12月16日に発売され、2025年1月16日~28日まで利用できるようだが、連続する5日間、JR東日本全線や東日本エリアの第三セクターなどの路線を利用できる。青春18きっぷと異なるのは、新幹線の普通車を利用できる点だ。 それだけの特典がついてもたったの1万9800円であり、「えきねっと」で購入すれば1万8800円なのである。ちなみに、連続する5日間使える青春18きっぷは、1万2050円だ。購入するためには一定の年齢になり、大人の休日倶楽部の会員になる必要があるが、元を取るのがとにかく簡単なので「鉄道ファン垂涎の切符」と言われることもある。 大人の休日倶楽部の公式サイトによると、1万8800円でパスを購入した場合、東京と新青森を新幹線で単純往復するだけで、なんと1万2780円も安くなるのである。利用期間は5日間連続となっているが、こんな単純往復で元が取れるのであれば、1日だけ日帰り旅行をする目的に使っても十分である。青春18きっぷと違って、かなり余裕のある旅程を組むことができるのだ。
ジャパン・レール・パスは値上げすべき、という声
近年、何かとSNSで議論になるのが、インバウンド向けに発売されるジャパン・レール・パスである。この切符は、最強のフリー切符と言われることが多く、日本の鉄道ファンの間からも「不公平すぎる」という声が上がっている。というのも、7日間連続でJRの全線(東日本も東海も九州も、とにかく全JRの路線が利用できる)が利用できてたったの5万円なのである。 ちなみに、上記は新幹線や特急の普通車を利用できるバージョンである。グリーン車にも乗り放題となるバージョンもあって、それでもたったの7万円である。東海道新幹線の「のぞみ」や山陽・九州新幹線の「みずほ」を利用する場合は制約があるものの、めったにフリー切符が出ない東海道新幹線に乗れるメリットは大きい。 東海道新幹線を利用しているとわかるが、大きなキャリーケースを持った外国人の姿で慢性的に混雑している。特に、グリーン車では、大声で談笑する外国人に辟易している日本人ビジネスパーソンも多いはずだ。そして、JR各社はみどりの窓口をどんどん削減しているので、観光地の窓口は外国人の姿で大混雑しているのである。 ジャパン・レール・パスの存在がオーバーツーリズムの原因になっているのではないか、新幹線の混雑の原因になっているのではないか、と指摘する声はある。冷え込んでいる日本経済を浮上させるためにインバウンドが重要であるとはいえ、肝心の日本人が鉄道を利用しにくくなっているのは本末転倒ではないだろうか。