ADHDの子どものために、学校側ができること。少しの工夫、便利な道具で子どもの困りごとを解消!
困った行動はなぜ? 誰に相談する? 治療すればよくなる? この先どうなる? イラスト図解で基礎からわかるADHD入門書『ADHDがわかる本 正しく理解するための入門書』より、連載形式でADHDの「今」をご紹介します。 ADHDであることを、本人や学校にどのように伝えるか? 今回は、学校側がADHDの子どものためにできる配慮について解説。 前編<ADHDであることを、本人や学校にどのように伝えるか? 「あなたが悪いからではない」と伝えることの大切さ>
教室の環境、席順などへの配慮
ADHDの子どもの目線になると、教室の中には、気になる刺激があちこちにあるのがわかります。掲示物や席順に配慮するなど、集中しやすい環境に整えることが大切です。 園や学校でおこなえる支援として、まず取り組みやすいのが「環境の整備」です。教室には学用品や掲示物などたくさんの物があり、人もたくさんいます。視覚・聴覚が常に刺激されるので、ADHDの子どもが集中を保つのは非常に困難な環境だといえます。 目や耳から入る刺激は極力減らし、学習に取り組みやすい環境づくりを目指します。「掲示物を減らす」「座席は最前列の中央にする」など、ちょっとした工夫でも効果があります。多動や不注意が現れるきっかけは人それぞれなので、様子をみながら、環境の改善をはかっていきましょう。 ■ADHDの子どもはこんなことが気にかかる 教室内で目や耳から入るさまざまな情報が、ADHDの子どもの集中を妨げます。 ■集中できる教室づくりの工夫 座席の位置の変更や、掲示物の貼り方を変えるなどの工夫で、ADHDの子どもは集中しやすくなります。 (1)座席は最前列の中央がベスト 最前列の中央は、先生の正面になるので余計な刺激が入りにくい。窓際や出入り口付近はNG。トラブルを起こしやすい子どもとは離れた席にする (2)掲示物はできるだけ後方へ。動かないように留める 掲示物はできる限り減らし、必要なものだけを教室の後方に移動させる。黒板まわりをスッキリさせるのがよい。また、掲示したものは、風でひらひらしないよう、しっかり留めておく (3)音に対する配慮を 耳栓やイヤーマフをつけるほか、ヘッドフォンで小さくBGMを流す方法もある。机やいすの脚にゴムのカバーを被せることで、机やいすの音が気にならなくなる (4)ついたてで集中できる場所を確保する 机の左右に簡単なついたてを置いて、視界に入る情報を減らす。壁のほうに向かって作業したほうが、集中できることもある (5)棚やロッカーは布でカバーする 棚やロッカーには布で簡易的なカーテンを取り付け、中身が見えないようにする。色は緑や青など穏やかなものを選ぶとよい