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“太鼓のおじさん”の名物バル、コロナ禍で営業継続が困難に

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footballista

文 木村浩嗣  コロナ禍は、あのスペインで最も有名なファンをも危機に陥れている。スペイン代表の全試合を追いかけていることで有名な“太鼓のおじさん”、マノロ・カセレス・アルテセロ氏(71歳)が、都市封鎖の影響によって収入源であるバルを閉めざるを得ず、どうやらこのまま引退するようだ。

テラス席の半分のみで営業再開へ

 3月14日にスタートした非常事態宣言はすでに4度延長され、サンチェス首相は6月いっぱいまでの最後の延長を議会に要請している。  当初は外出禁止のいわゆるロックダウン状態にあったが、今週に入ってリーガの練習がスタートするなど緩和される方向にあり、マノロのバルも来週18日からは2カ月以上ぶりに営業を許されることになった。  とはいえ、まだ全面オープンとはいかない。屋内に客を入れることはできず、開けられるのは屋外のテラス席だけで、それもソーシャルディスタンスを尊重するため本来のキャパシティの半分を入れられるだけ。全体のキャパで言えば5分の1程度の客席数となる。  「これでは採算が取れない」と飲食業界は猛反発。営業を再開するところは少数派にとどまるだろうと言われている。  さらにマノロにとって悪い事には、お得意様が帰って来る見込みが立たない。というのも、バレンシアのホームスタジアムの目の前にあるバルの客は、ほぼすべてがサッカーファン。  「あなたのスポーツ博物館」という意味のバル名の通り、店内にはマフラーや遠征時の写真などがびっしりと飾られており、記念撮影をする観光客を目にすることも珍しくない。  しかし、サッカー界も旅行業界もストップしているし、たとえリーガが再開しても無観客ではテラス席すら埋まるかどうかわからない。

名物バルは6月いっぱいで閉店か

 『マルカ』紙の報道によれば、マノロ氏はテナントの契約が切れる来月のタイミングでバルを手離すつもりだという。  現在の月収は5万円程度で、生活費の足しにするためにあの太鼓を競売にかけることすら考えている。ちょうどスペイン代表がW杯で優勝して10周年の今年。生活が苦しいのは「サッカーにすべてを注ぎ込んだから」なのだが「後悔はしていない」という。  ラ・リーガの試算によれば、試合開催による周辺業界(飲食、交通、宿泊など)への経済的インパクトは年間300億円ほど。今季の残り試合は間違いなく無観客で、悲観的な見方だと来季もかなりの期間、スタジアムに人を入れられないだろうとされている。  リーガ再開への明るいニュースがようやく聞こえてくるようになった一方で、マノロ氏のようなサッカー周辺に生きる普通の人たちの生活がコロナウイルスに奪われようとしている。

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