ディズニーストアの英断「商品数8割減」の勝ち筋…きっかけは「何も買わなかった」客への調査にあったという
■商品を「広く浅く並べたほうが売れる」は間違い そして、買い上げ率や購入点数と同じくらい重要なのがSKUです。SKUとはStock Keeping Unitの略称で「在庫管理の最小単位」のこと。もっとわかりやすくいえば、その企業が販売している商品点数のことです。 物販業に携わったことがある人なら、誰もが「広く浅く商品を並べたほうが売れるのか」、それとも「狭く深く商品を並べたほうが売れるのか」という問題について1度は考えたことがあるのではないでしょうか。
多くの物販業者は、「広く浅く並べたほうが売れるのでは?」と考えてしまいがちです。しかし、これは間違いです。 ディズニーストアも、かつてはキッズ・ファミリー向けのSKUを1万点近く用意していました。とにかく購入点数を上げてもらうために、関連グッズをたくさん作ってSKUを多くする戦略を採ったのです。 ところが、これは明らかに多すぎでした。SKUを多くすると、広く浅く陳列することになり、売れ筋の商品ほどすぐに在庫切れを起こしてしまいます。お客様が欲しいと思っている商品ほどすぐになくなるわけですし、売れ筋以外の商品が売れ残りやすくなるのでまったく非効率的です。
一方、SKUを絞れば、お客様は自分の欲しい商品、売れ筋の商品を探しやすく、店側は狭く深く仕入れているわけですから、在庫切れを起こしにくくなります。 私がディズニーストアで働き始めてから、このSKUを絞る必要性に気づいて1万点から1500点にまで絞り込むことになりました。SKUを絞る必要性に気づいたのは、お客様への出口調査がきっかけでした。 お店の出口で、お客様にインタビューをしたわけです。しかし、「買った人」にしたのではなく、「買わなかった人」にしました。買った人が何を買ったのかはお店のほうで把握していますから、出口調査というのは買わなかった人にすることに意味があるのです。