健康な人は「骨」に気をつけている…年間に40%も生まれ変わる「骨の新常識」
私たちの体を支える骨は、体の中で1年に7~40%が入れ替わるほど最も新陳代謝が旺盛だ。どんなメカニズムなのか、そしてその速さにはどんな意味があるのだろうか。 【写真】快適な睡眠は「ふくらはぎ」が決める…! 骨が衰え、もろくなる「骨粗しょう症」をはじめ骨代謝の診断・研究・治療の世界的権威が、100年健康に生きるための骨の真実を明かした『100年骨』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
大小200個の骨が多くの役割を担っている
骨について意識を向ける機会は、日常ではあまり多くないかもしれません。たとえば、人体にはどのくらいの数の骨があるかご存じでしょうか。 人体を支える骨は、大小約200とも言われます。 骨の大きさは、一番小さい耳小骨(じしょうこつ)の1つ「あぶみ骨」で3~4mm程度。最も大きいのは太ももの大腿骨で40~50cmほどもあり、ごくごく微小な骨から、大きな骨まで、それぞれが大切な役割を担っています。 骨の役割は主に次の5つです。 (1)からだを支える……約200個の骨が全身を支えている。 (2)臓器を保護する……外的な衝撃などから臓器を保護する。たとえば、頭蓋骨は脳を、肋(ろっ)骨(こつ)は心臓や肺を保護している。 (3)からだを動かす……筋肉と密接に連携してからだを動かしている。 (4)血液をつくる……血液細胞である赤血球、白血球、血小板は、骨の中心部にある骨髄でつくられる。 (5)カルシウムを貯蔵する……骨には体内のほぼすべてのカルシウムが蓄えられている。 ちなみに、からだの中で一番小さい骨「耳小骨」には、音による鼓膜の振動を、電気信号に変換する蝸牛(かぎゅう)という器官に伝える役割があります。電気信号は聴神経を通って脳まで伝わり、脳がそれを認知すると、人は「音が聞こえた」となります。 人間に備わる200もの骨たちが、これだけ多くの役割を担っているわけですから、その骨の強度が低下する骨粗しょう症が、万病の原因であることも納得していただけるのではないでしょうか。 骨は成長とともに大きくなりますが、成長が止まると骨の大きさは変化しなくなります。このため、骨は成長が終わったら、カチンコチンのままジッとしているイメージかもしれませんが、そうではなく、骨とは「動的」な存在です。 骨を鉄筋コンクリートの建物にたとえて説明すれば、新築ピカピカの鉄筋コンクリートも、築年数が10年、20年、50年と経過するうちに、鉄筋にサビが溜まっていき、コンクリートの壁にもひび割れが発生します。 そのままでは倒壊してしまうので、業者さんに修繕してもらいますよね。マンションなら十数年に一度の修繕工事ですが、骨の場合はこれが日夜営まれているのです。