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「不要不急」と言われた博物館長の胸の内「社会のおまけじゃない」 問いかける「ものを考える場所」とは?

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「自分たちで考える」

休館を決める際、尾高さん大事にしたのは「自分たちで考える」ことです。 「国立や公立の施設の場合、行政の指示で休館が決まります。でも、民間の施設である日本新聞博物館は、運営元の日本新聞協会としての組織の手続きを経て判断をすることになりますが、なぜ休館という判断をするのか、自分たちでまずは方針案を決めなければいけません。そのため、メールを含め後から振り返って検証できるよう、記録を残すようにしました」 尾高さんは、社会に不安が広がる中、「みんな、自分で考えなくなっているのが気がかり」だと言います。 「不要不急の行為が何を指すのか、わからない。東京都が示してくれるのを待っているような状態」 尾高さんにとって、それは「メディアの構造そのもの」に映るそうです。 「スマホのタイムライン流れてくる情報だけに頼っていると、前後の文脈が伝わりません。自分が引き寄せる情報しか目にしなくなるフィルターバブルが起きている。だから、突然、不要不急と言われると、社会にとっての不要不急が何を指すのかわからなくなるのではないでしょうか。確かな情報を見極める力を持つこと、それは毎日、当館が館内で伝えていることそのものです」

足を運んでもらうことの意味

今回の休館を受け、尾高さんは、あらためて「博物館の意味」について向き合っています。 「毎日、一番に考えていることは、足を運んでもらうことで成立する施設としての役割です」 日本新聞博物館では、職員やシニアのボランティアスタッフが子どもたちや来館者に展示資料を説明する取り組みを続けています。展示物の中には、161年前、横浜が開港した時、辺り一帯が最先端の情報の集積地、現在のベンチャー企業が集まる六本木や渋谷のような場所だったことを伝える資料もあります。 「現物を前に、生身の人間の説明によって生まれる強い体験があるんです」 学校の授業で訪れた子どもが週末、自分の親や兄弟を連れてくることもあるそうです。 「博物館というのはメディアであり、展示鑑賞する場所です。そこで、人々は、心動かされたり、静かに自身と向き合ったり、好きな世界に触れたり、一緒に訪れる人との思い出を作ったりしています。そういう博物館、美術館の意味を、あらためてかみしめています」

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