コロナで「純ココア」に脚光 シニアの健康志向と手作り需要で大幅増 バレンタインデー上振れ予想 森永製菓
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で森永製菓の「純ココア」が大幅に売上げを拡大している。 「純ココア」は今期(3月期)、前年比20%増の着地見込みで推移し、最需要期となるバレンタインデーの日程が今年は週末であることから手作り需要の高まりで上振れする公算が大きい。 好調要因について、取材に応じた森永製菓の中村望食品マーケティング部ココアブランドマネジャーは、コロナによる健康志向の高まりと外出自粛による手作り需要の増加にあると指摘する。 中でも大きいのは健康志向の高まりで、コロナ報道が過熱し始めた2月にココアの機能価値を特集した専用サイトにアクセスが集中。この動きと連動するように「純ココア」の需要も高まっていった。 通常、「純ココア」などのココア商品は“寒ければ売れ暑ければ売れない”傾向にあるが、昨年は「純ココア」が春先の4月に60%増を叩き出すなど明らかにこれまでと異なる動きをみせた。 ココアは、他の嗜好飲料と異なり抽出液ではなく、カカオ豆をすり潰してできるものであるためカルシウム、マグネシウム、鉄を含み、食物繊維も生野菜や果物よりもはるかに多く含まれている。活性酸素を抑える作用のあるポリフェノールを含んでいるのも特長となっている。 コロナでこのような健康価値が見直された模様で「特に60代以上のシニア女性の奥行(消費量)が拡大したことが大きかった。『純ココア』を知っている人が毎日の習慣として飲まれるようになったとみている。直近のTV番組でも長寿の秘訣として取り上げられるなど、健康成分として脚光を浴びている」と中村望マネジャーは説明する。 「純ココア」のメインユーザーはそもそも60代以上の女性で、製菓材料のイメージが強いが、6割が飲用で消費されているという。 製菓材料の手作り需要は、コロナの外出自粛による巣ごもり消費の高まりが追い風となった。 「子育てされている主婦層は手作り需要の高まりでどちらかというと間口(購入者層)が拡大している。時短ブームでずっとシュリンクしていた作り需要だが、コロナで一度体験してもらえたことが大きいと考えている。クリスマスでも大きく伸び、バレンタインでも大きな伸びが予想される」と手作り需要でも期待をにじませる。 なお片岡物産の「バンホーテン」ブランドは「ハイ カカオ72%」や「ミルクココア糖質60%オフ」が好調。カカオのみを使用した「ピュア ココア」は微増で推移している模様だ。