トヨタが開発中の新型4気筒エンジンは「X15型」と「X20型」 中嶋裕樹副社長は「縦にも横にも載る」と
WRC(世界ラリー選手権)最終戦ラリージャパンのイベントステージで、新型セリカの開発を宣言したトヨタ自動車 副社長 中嶋裕樹氏が、もう1つ重要な発言を行なっていた。それは、豊田章男会長にお願いされて作っているという、東京オートサロンで明らかになった開発中の2つの新型エンジンに関してになる。 【画像】トヨタ自動車株式会社 取締役副社長兼CTO 中嶋裕樹氏と、「X20型(仮称)」エンジン この2つのエンジンは、赤いヘッドカバーを持つ直列4気筒 DOHC 2.0リッターターボエンジンと、銀色のヘッドカバーを持つ直列4気筒 DOHC 1.5リッターターボ&自然吸気エンジン。1.5リッターエンジンのほうは、ターボタイプと自然吸気タイプがあるとされ、ハイブリッドシステムと組み合わして使うことを前提としている。 このエンジンは今まで名前が発表されていなかったため、本誌では便宜的に「赤いスポーツエンジン」「銀色の高効率エンジン」などとして紹介していた。中嶋副社長は、この2つのエンジンを「X20」「X15」として紹介。初めてエンジン名が公開された形だ。 この2つのエンジンは現在のTNGAエンジン、つまりボア×ストローク比で1.2となる高効率なダイナミックフォースエンジンとは異なる、共通のコンセプトによって作られている。 それが、高さを抑えるコンパクトなエンジンというコンセプトであるものの、狙っているパワー&トルクのカバーレンジが大きく異なる。 X20型は市販では400馬力程度を狙い、レーシングシーンにおいてはヘッドまわりを変更して600馬力を目指すというスーパースポーツエンジン。一方、X15型は現在の2.5リッターターボまでの領域を電動ユニットと組み合わすことで実現していくエンジンになる。そのため、自ずからシリーズ名は異なると考えていたので、その辺りをステージ登壇を終えた中嶋副社長に確認してみた。 トヨタのCTOも務める中嶋副社長によると、確かに異なる要素が多くあるエンジンであるものの、狙っているのは同じ方向性だという。以前の説明会でも、電動化時代の低ハイトエンジンと語っており、同じコンセプトであるから「X」という名前で語ったのだ教えてくれた。 トヨタのいう電動化時代の低ハイトエンジンは、今後トヨタが発売していくバッテリEV、PHEV、HEVを同時に成り立たせるマルチパスウェイプラットフォームに対応するもので、バッテリEVのインバータ+モーター、PHEVのエンジン+ハイブリッドシステムを、同じ容積で成り立たせようというもの。すでにBYDのシールでは、同じボディでバッテリEVと航続距離2100kmをうたうPHEVを両立しており、そのような新世代車の領域を狙ったものと思われる。 今回、仮称でもエンジンの名称が公開されたのはありがたく、今後は「X20ターボ(仮称)」「X15ターボ(仮称)」「X15(仮称)」という形で呼びやすくなる。 また、中嶋副社長はこの新型エンジン群を「縦にも、横にも載る」と紹介。横はともかく、縦はFRやスポーツ4WDへの搭載を暗示しており、搭載車の発表が楽しみなエンジンともいえる。ぱっと思いつくのは、当日開発発表された新型セリカだが、果たしてそれは正解なのだろうか?
Car Watch,編集部:谷川 潔