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コロナ禍で拡大する“赤字覚悟”の在庫処分。LA在住の女性起業家・三木アリッサさんが指摘する「日本の搾取文化」

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職人を守りたい「成功事例」を生むためにLAで起業

――今回、三木さんは「赤字覚悟の割引支援」に対して、ハッキリと「No」という意思表示をされています。なぜ、そこまで言及されるのでしょう? 声を上げる目的は「一次産業の生産者、職人、アーティストの方を守りたいから」です。支援とうたいながら買い叩いて搾取するような悪しき文化を根絶しなければ、彼らを支えることはできません。 その思いが生まれた背景には、私のバックグラウンドが紐付いています。私は銀行マンの父と人形作家の母の間に生まれ、アメリカと日本を行き来しながら育ちました。母はいくつも賞を取っているような作家なのに経済的には恵まれず、子供ながらに悔しい思いをしていたんです。それが転じて「職人やアーティストを助けたい」と思ったことが、LAでの起業にもつながっています。 ――なぜ、LAでの和菓子ブランドという選択だったのですか? まず、職人・アーティストの方が十分に稼ぐことができる「器」を作らなければいけない、「いいモノは高くても売れる」という成功事例を作らなければいけないと考え、ブランドの立ち上げを決めました。 和菓子というアイテムを選んだのは、ビーガンメニュー、かつグルテンフリーのものしか食べられない人にもおいしいお菓子を食べてほしいと思ったから。私の友人がまさにそうで、彼女がパーティーで何も口にできなかった姿を見て、ショックを受けた原体験があります。 LAという場所を選んだのは、外貨を稼ぎたいと考えたこと、以前の職場でアメリカ法人の立ち上げに携わりローンチまでを経験したこと、アーティストや職人をリスペクトする文化がベースにあること等の理由からです。 現在は、私がすべて手作りで和菓子を作っていますが、ゆくゆくはすばらしい技術を持つ職人の方を呼び寄せて、共にイノベーションを起こし、弊社で販売してもらえたらと考えています。 ――現在は、どのような商品を、どのような戦略で販売されているのでしょうか? 宝石のようなビジュアルの和菓子を5粒1セットとして、ボックスに詰めて販売しています。こだわりは、ビーガン、グルテンフリー、着色料無添加であること。アメリカ人の嗜好に合うよう研究を重ね、200回のレシピ変更を経て、まったく新しい概念の和菓子を作り上げたことです。 通常の和菓子は着色料を多く使用していて、アメリカ人からすると香りが良くない、という声が聞かれますが、弊社の和菓子はハイビスカスクランベリー味、ブルーベリーレモン味、ローズウォーターとドライローズを使ったローズ味など、日本では出会えないフレーバー、味、テクスチャを採用しています。現状、顧客の8割がアメリカ人、かつそのうちの6割が白人です。 価格帯は5粒25ドルで、日本円だと1粒約500円。一般的な和菓子なら1個100円程度で買えるところ、ビジュアルや製法、原材料に独自のこだわりがあるため、約5倍の価格帯ですが、それでも一定層に支持されています。 現在は弊社のWEBサイトの他、アメリカ国内のファーマーズマーケット3店舗、アメリカで著名な映画会社「ドリームワークス」の本社内、トランプ大統領が保持する高級ゴルフクラブ内で販売されています。 ファーマーズマーケットは、通常、店舗を持つのに2~3年は待機しなければならないところ、「アメリカで求められている健康志向の商材であり、ユニークだから」という理由で、すぐに店舗を持つことができました。 トランプ大統領所有のゴルフクラブでの販売は、飛び込み営業の成果です。アメリカにはコネクションもなかったし、とにかく必死でした。「職人やアーティストを支援したい」という思いで、ここまで海外で最前線を走っている人はほんとどいないし、もし私が失敗したら次に同じことをやろうと思う人が出てこれないと思うから。

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