Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

コロナ禍で拡大する“赤字覚悟”の在庫処分。LA在住の女性起業家・三木アリッサさんが指摘する「日本の搾取文化」

配信

AMP[アンプ]

新型コロナウイルス拡大の影響を受け、飲食業界、ホテル業界、エンターテイメント業界などで、閉店や倒産のニュースが後をたたない。その一方で、廃業の危機にあえぐ人々を救おうと、宿泊前売り券やクラウドファンディングなど、さまざまな支援策が誕生している。 そのうちの一つとして30万人以上が加入するのが、Facebookで展開されている「コロナ支援の縁結び」グループだ。これは、赤字覚悟でも商品在庫を処分したい「生産者」と彼らを支援したい「顧客」をマッチングさせる目的で、日々、活発なやり取りが飛び交っている。 この取り組みに対して「日本の貧困化を助長している」と指摘するのは、ロサンゼルスで「和菓子ブランド」を立ち上げた女性起業家であり、2018年にはForbes JAPAN「地球で耀く女性 100 人」最年少で選ばれた三木アリッサさんだ。「生産者へ赤字覚悟の割引を要求することに対して、憤りが隠せない」と語る彼女に、その真意を聞いた。

赤字覚悟での販売は、支援という名の「搾取」でしかない

――先日、Twitter上での三木さんの発言に注目が集まっていました。この真意を伺えますか? この発言の発端となったのは、生産者と消費者をマッチングさせる「縁結び」が目的のFacebookグループの存在です。目的は、コロナ禍において苦しんでいる生産者を助けることであり、この設立目的自体はすばらしいと思います。 ただ、問題なのは「赤字覚悟の割引価格でなければ販売できない」という点。例えば、市場に出せないクオリティの商品を大幅値引きで売るなら理解できますが、このFacebookグループで投稿されている商品は、コロナ禍によって突然売り場を失った商品も多い。つまり、品質には何の問題もないということです。 それなのに、主催者が生産者に対して赤字覚悟の値引きを要求するのは、おかしくないですか? 赤字覚悟で販売して誰が救われるのでしょう? 確かな技術とプライドを持ってクオリティの高い商品を作っている生産者の方々に対して、リスペクトがある支援策だとは到底思えなかったし、これは「支援という名の搾取」だと思います。Twitter上ではさまざまなご意見をいただきましたが、それでも「No」と声を上げ続けなければいけないと感じています。 ――なるほど。現在、このグループは30万人規模に成長しており、活発な活動の様子が伺えます。三木さんのご指摘どおり、利用の動機は「苦しんでいる生産者を救いたい」ではなく、「いいものが安く買えてラッキー」という方も多いかもしれませんね。 それって、本当の意味での支援だと言えるでしょうか? まるでバナナのたたき売りのようで、安くていいものを欲しがる人たちが群がっているように見えました。 今まで取引していたお客様がいなくなり、やむなく在庫を抱えてしまった、という状況なのだから、生産者が損をしない価格で売るのが本来あるべき支援の姿ではないでしょうか。赤字覚悟の価格でしか販売できない状況が続いたら、一次産業の方々はつぶれてしまいますよね。 ――これまでに6社にジョインし功績を残してきた三木さんから見て、いわゆる「たたき売り」や「搾取文化」は、どんな業界、どんな場面で見られましたか? 主にB to Bの業界はその動向が強く、例えばイスラエルの専門商社時代には、日本企業からの値下げ交渉に悩まされました。 私が担当していたヘルステックの領域では、FAD(アメリカ食品医薬品局)認証済で、安全性・有効性のお墨付きがあり、世界中からラブコールを受けているユニークな商材であるにもかかわらず、多くの日本企業は「自社で定められたバジェット以内でなければ買えない」と回答しました。 この背景には、部長クラスの人でも予算の権限を持っていないという企業構造の課題もありますが、根底に「相場に合わせるよりも自社の予算に合わせて買い叩く」という文化が当たり前に根付いているからだと感じています。

【関連記事】