Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

イラン影響力低下か イラク新政権、関連民兵組織摘発 ソレイマニ司令官殺害半年

配信

毎日新聞

 今年1月3日にイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官が米軍に殺害された事件から、7月で半年となる。作戦現場となった隣国イラクでは、5月に就任したカディミ首相の政権下でイランの影響力が弱まるなど変化が起きている。ただ、石油価格下落や新型コロナウイルスの感染拡大などの課題も抱え、イラクが国内の安定化を実現できるかは不透明だ。  イスラム教シーア派大国イランは近年、国民の6割がシーア派の隣国イラクにも影響力を強めている。特にソレイマニ氏は中東各地のシーア派武装勢力を支援する中心人物だった。ソレイマニ氏は1月3日、イラク・バグダッド国際空港付近で米軍無人機に攻撃されて死亡したが、この時はイラクのシーア派民兵組織「人民動員部隊」(PMU)のアルムハンディス副司令官も一緒に殺害された。このPMUこそが、イラク国内で親イランの代表的組織だった。  こうした中、5月に誕生したイラクのカディミ政権はイランの影響力排除に動き出している。イラクでは近年、豊富な石油資源で生じる富が国民に行き渡らず、経済難が深刻化。親イラン政治家による腐敗などに怒った国民が大規模な反政府デモを度々起こしており、反イラン感情も高まっている。カディミ政権はPMUをイラク政府の指揮下に収めることを目指しているとされる。  一方のイラン側も従来ほどイラクに浸透できなくなる可能性がある。AP通信によると、ソレイマニ氏の後継司令官のガアニ氏は、ソレイマニ氏と違ってイラクの公用語であるアラビア語を話せず、イラクの民兵指導者たちとの関係構築に苦慮しているという。イラク政府は現在、ガアニ氏のイラク訪問に際して以前は不要だったビザ申請を要求し、活動を抑え込む姿勢を見せる。  ただ、親イラン勢力によるとみられる「かく乱」の動きは収まっていない。カディミ政権が6月11日に米政府とテレビ会議方式で戦略対話を実施して以降、在イラク米大使館付近を狙ったロケット弾攻撃などが相次いだ。これに対し、イラク当局は同25日、米関連施設への攻撃を実行した疑いで親イラン民兵組織のメンバー13人を逮捕した。  イラクの今後について、エジプトのイラク専門家、ジャッシム・ムサウィ氏は「イランによる介入は多くの場合、イラク政府がそれを許したり求めたりした時に起きてきた。カディミ政権の誕生で国内の安定がすぐ実現するとは思えないが、(安定に向けた)出発点にはなるだろう」と指摘している。【真野森作】

【関連記事】