【ABC特集】2歳で余命10ヵ月の宣告 わが子のがんで見つけた“家族の幸せ”
わが子が『余命10ヵ月』の小児がんと診断され、病院ではなく、家で過ごすことを決めた家族がいます。ときに不安を感じながらも、見つけることができた“幸せ”とは。 (母親)「生きられる日をいかに幸せに生きてもらうかと」 限りある小さな命とともにあった、家族の物語です。
滋賀県高島市に住む、荒木佑介さん(40)と、妻・侑子さん(40)。5歳の長女・紬(つむぎ)ちゃん。一家は、6歳だった長男・悠歩(ゆうほ)君を1年前、病気で亡くしました。
「ひさしぶり~」 今年3月、悠歩君の友だちだった女の子が会いにきました。高橋ひまわりちゃん。ひまわりちゃんは悠歩くんの病気を知った4年前から髪を伸ばしています。 (ひまわりちゃんのお母さん)「(写真を見ながら)このとき、悠歩くんめっちゃ照れてたよね」 (悠歩くんの父・佑介さん)「何歳くらいのとき?」 (悠歩くんの母・侑子さん)「1歳だね」 (ひまわりちゃん)「(悠歩君は)優しかった」
悠歩くんが2歳になって間もないころ、左足をひきずって歩くようになり、両親は医師に相談しました。 (母・侑子さん)「(医師は)『神経に異常があるかもしれないから、一度ちゃんと調べたほうがいいと思います』ということで、大きい病院を診断することになりました」
診断名は“びまん性小児脳幹部グリオーマ”。脳の中枢部にある脳幹に腫瘍ができる小児がんで、確立された治療法はありません。悠歩君は『余命10ヵ月』と告げられました。 (父・佑介さん)「僕が『腫瘍というのは、つまり、がんのことですか?』と(医師に)言ったら、短く『そうです』と言ったときに、もう本当に世界が灰色になるというか・・・僕たち家族の目の前から色がなくなって。妻も泣き崩れたし」
悠歩くんが『おうちに帰りたい』と叫ぶのを聞き、荒木さん夫婦は何度も話し合って決めました。『治療をせずに、家に帰る』。家族の希望を聞いた病院は、訪問看護などの態勢を整えてくれました。 (母・侑子さん)「長く生きられないのであれば、生きられる日をいかに幸せに生きてもらうかと」