なぜ性別変更した元女子世界王者の真道ゴーは男子のプロリング挑戦を決断したのか…ライセンス交付に立ちはだかるJBC破綻問題
反対されると思った妻には「いつかそうすると思っていた。自分で決めたら変えへんやん。いいんじゃない」と賛成され、兄には「イバラの道を選んだね。あなたらしい」と励まされたが、両親は「心配」と嘆き、姉にも「また泣かなあかんのか」と心配された。 だが、真道は「“したいな”じゃなくて“しよう”と決断した」という。 昨年9月から練習を再開した。本石会長はあえて階級が上の選手とのスパーを組んだ。 「生まれ持った筋肉、骨格などの体の違いは感じる。自信があるか?と聞かれたらまだまだと思う」 長いブランクに加え、フィジカルとパワーの差を思い知らされたが、真道には、スピードと女子世界王者時代に培ったキャリアとテクニックがある。 「不可能とか、無理やろ、という言葉があるが、やらなわからんやろと思う。女性のリングだが、世界戦とかそれなりに経験を積んできている。マイナス部分もあるが、ボクシングはトータルの勝負。そこでどれだけ勝負できるのか。人の評価をもらうためにやるわけじゃないが、リングに上がって所詮こんなものかと思われないように日々取り組みたい」 この日の会見後に真道はTシャツを着て同ジムの1勝1敗のフェザー級4回戦の岡橋入也との2ラウンドのスパーリングを公開した。1ラウンドはジャブとワンツーを主体にスピードで圧倒。2ラウンドにパワーで押し返されそうになったが、スウェーやブロックなどの絶妙のディフェンス技術で対抗して、すぐさま反撃。フィジカル、スピード、技術ともになんら男性ボクサーと遜色がないことをアピールした。 プロテストはC級で受験する方向だと言うが、B級でも合格する実力はある。現在の体重は、60キロあるが、バンタム級かスーパーフライ級まで落として戦いたいという。 目標はプロテストの合格ではない。 「リングに上がって、どれだけできるか。まずは1勝。そのとき、まだ挑戦したいと思うのか、その時の気持ちと素直に向かい合いたい」 元女子世界王者が掲げた目標は、ボクシングの世界と真摯に向き合っているからこそのリアルな目標。本石会長には「年内には試合を組みたい」という構想がある。