朗読劇「アルセーヌ・ルパン#4 カリオストロ伯爵夫人」関智一 インタビュー
演出家・野坂実が中心となって世界の名作ミステリーを舞台化し、上演していくプロジェクト「ノサカラボ」。その中でも、特に人気の高いシリーズが朗読劇「アルセーヌ・ルパン」だ。2021年『813』、2022年『虎の牙』、2023年『緑の目の令嬢』に続く第4弾は、アニメ・漫画などのメディア化でもたびたびとりあげられてきた『カリオストロ伯爵夫人』。朗読によってどのような世界が描き出されるのか、これまでの3作、そして今回もアルセーヌ・ルパンを演じる関智一に率直な思いを聞いた。 【全ての画像】朗読劇「アルセーヌ・ルパン#4 カリオストロ伯爵夫人」出演者
恋多き男・ルパンの実らない愛の物語なのだと思う
――今回で4回目のルパン役です。これまで演じてきて、どのような部分に興味深さを感じましたか。 ルパンは変装を繰り返しながら物語の中に登場してくるので、いろいろと演じがいがあります。それと、物語はスリルとサスペンスという印象が強いですけど、実は恋多き男性が誰かを好きになっては実らず終わっていく“愛の物語”だと感じました。 ――ルパンという人物については、どう感じていますか? このシリーズの朗読をやるまで、実はアルセーヌ・ルパンの小説ってあまり読んだことなかったんです。日本ではむしろ『ルパン三世』の方が有名ですけど、「アルセーヌ・ルパンがおじいちゃん」という設定だけあって、あそこまで軽薄な感じはないけどやっぱり本家の方もそういうところがあるんだな、どこか近い部分があるんだなって思います。 ――これまで続けて演じてきたことで、これが“関ルパン”みたいなキャラクターも固まってきた感じなのでしょうか。 いや、ルパンは変装している時間も長いので、あまり「こうだ」みたいなものは定まってない。ただ女の人に対しては情熱的であるっていう、そこの1点を頼りにしています。 ――今回は「稀代の悪女」と呼ばれるカリオストロ伯爵夫人に惹かれていく展開だと、あらすじでも紹介されていますね。 僕もこれから台本に目を通すので、まだそのくらいしか知らないんです。でも毎回事件に巻き込まれて、大変な思いをしてますからね。いつも以上に身の危険も感じる展開になりそうです。「カリオストロ」っていう名前は、それこそ宮崎駿さんの『ルパン三世』の映画でもよく知られているので、とてもなじみ深いですよね。そこから興味を持って物語に入っていただくのも面白いのかなって思います。映画では宮崎さんのお好みで、ルパンだけじゃなくて江戸川乱歩が翻訳した『幽霊塔』とか、いろいろな作品のエッセンスが組み込まれています。この『カリオストロ伯爵夫人』とはどの辺りに共通点があるのか、どんな冒険になるのか、僕自身も楽しみです。 ――ルパンの相棒であるモーリス・ルブランは木村良平さんが連続して演じてらっしゃいます。木村さんと一緒にお芝居される楽しさはどういうところに感じていますか。 すごくお上手な方だし、あまり打ち合わせをしなくても、お互いの呼吸を探り合っていい塩梅に会話が成り立っていく。そういう信頼感があるし、安心して一緒にやれますね。空気みたいというか女房役っていう感じでとてもやりやすい、居心地のいい人です。 ――関さんからご覧になって、ルブランというキャラクターの魅力は? ルブランは作家なんですよね。こういうミステリーものは、主人公が作家の友だちで、主人公から冒険談を聞いて書いているという構成が結構多い。横溝正史とかもそういう感じですし、全編がそうというわけじゃなくても、そういう趣向で書かれていたりして。でも原作の小説には、モーリス・ルブランはそんなに出てこない。これはノサカラボならではの脚色ですけど、毎回同じ人(ルブラン)が見ているという構成になっているのは、統一感が出て面白いですね。