橋本聖子氏のキス強要はセクハラか?
「スポーツ団体」や「議会」には法規制が及ばない
ところがここに大きな法律上の抜け穴があります。セクハラの法規制の対象はあくまで「職場」であって、「議会」や「スポーツ団体」などは対象外ということです。つい最近も、都議会セクハラ野次事件では、調査をしないことを議会がわざわざ決議して、強引な幕引きを図ることが行われました。あのケースでも世間の常識とはおおよそかけ離れた対応ができたのは、議会にはセクハラの法規制が及ばないため、誰も責任を取る必要がなかったからです。 改めて考えてみると、今回の事件の舞台も職場ではありません。したがって、サラリーマンであれば当然キスの強要がセクハラになり懲戒対象となっても、議員やスケート連盟の会長ということになれば、議会や連盟の任意の判断に任されているので、団体がアクションを起こさなければそれまでになります。 サラリーマン世界では法規制によって、大方のセクハラの常識はできつつありますが、議会やスポーツ団体などはまったく治外法権化しているのです。そのため、現実的には、被害者が団体に訴えるか(都議会では訴えたがダメだった)法的に訴える(不法行為や名誉棄損)ことがなければ、問題にならない(もみ消す、逃げ切りが可能)ということになってしまうのです。 (金子雅臣/職場のハラスメント研究所所長、労働ジャーナリスト)