大間や気仙沼では逮捕者も…!漁獲を報告せず裏ルートで流す「闇マグロ」が横行、漁師たちが明かす「驚きの流通システム」
いま、水産庁への漁獲報告をしていない通称「闇マグロ」が横行している。逮捕されるリスクも承知のうえで、漁師たちが闇に流すのはなぜか。大漁なのに売れない―マグロ漁が抱える問題を暴く。 【マンガ】「日本人はヤバい」オーストラリア人が「うなぎ」を食べた「衝撃の感想」 前編記事『漁獲未報告の「闇マグロ」が発覚して横浜市中央卸売市場に激震…!「大漁なのに捨てまくっている」クロマグロ漁師の知られざる実状』より続く。
闇マグロの流通経路
獲ったマグロを海に逃がしても死んでしまうケースが多いため、漁師は「捨てる」と表現する。 では、現場ではどのようにマグロが闇へと流されているのか。宮城県内のマグロ漁師が明かす。 「あるとき突然、『水産会社』を名乗る極道のような男が、『捨てているマグロを融通してくれ』と漁港で声をかけてきたんです。私は断りましたが、誘いに乗った漁師もいた。マグロ漁は燃料代や人件費がかさみ、零細漁船の懐は寒い。捨てていたマグロを現金取っ払いで買うという提案は魅力的だったんでしょう。 その水産会社は漁師から帰港の連絡を受けると、通常はマグロを水揚げしない小さな漁港に接岸させる。そして、トラックに素早くマグロを乗せて走り去っていきます。書類?そんなもの交わすわけないでしょう」 闇マグロは1kg1500円といった相場の半値近い価格で取引される。そのため、買い手に事欠くことはないという。 「自分で小売店にマグロを売っている漁師もいます。地元の寿司屋、魚屋、スーパー、いくらでも売り先はある。SNSで格安海鮮丼を宣伝しているような店は、怪しいかもしれません。 宮城のマグロ漁師のなかには、安い軽トラから突然レクサスに乗り換えた奴もいる。漁獲未報告は違法行為で、操業停止のリスクもある。何より、地元の評判が落ちてみんなに迷惑がかかる。真面目にやっている漁師からすれば、迷惑でしかありません」(同前)
豊洲市場にも紛れ込む
闇マグロは全国各地の市場に紛れ込んでいるとみられているが、東京の豊洲市場からも「怪しい生のクロマグロが入り込んでいる」という声が出ている。豊洲の仲卸業者が重い口を開いた。 「ちょうどコロナ禍の頃から場内に出所の不明なクロマグロが出始めました。大口の品物の中に紛れ込んでいるのです。まれに一本そのままの場合もありますが、多くは水揚げした産地で解体し箱詰めされた形で運ばれてきます。 生マグロの流通は複雑です。各地の市場で競り落とされたマグロが豊洲に送られてくるわけですが、中間業者が正規の品物に闇マグロを混ぜることが容易にできるのです。仲卸も闇マグロだと気づかず取引をしているケースもあります。また、産地から冷蔵便で直接小売店や寿司屋などに品物が送られるケースも多い」 水産庁は、漁港に防犯カメラを設置したり、委託業者を常駐させたりといった闇マグロ対策を取っている。だが、監視体制は十分に整備されていないと、前出の樫原氏は断言する。 「水産庁は今年4月に漁獲管理官という専門チームを創設しましたが、メンバーは20人です。クロマグロがよく揚がる漁港は全国に30~50あるのに、20人という中途半端な人数で何を監督できるのか。漁港や市場を管理している自治体にも、予算的な余裕も人手もありません」 資源回復を理由に、来年のクロマグロの漁獲枠は大型が1.5倍、小型も1.1倍に増える見込みだ。が、まだまだ獲れる量には追い付かない。今後も闇マグロ事件が続けば、日本漁業の国際的な信用も低下する。水産庁は本気で対策に乗り出すべきだろう。 「週刊現代」2024年12月7・14日合併号より
週刊現代(講談社・月曜・金曜発売)
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