やしきたかじんさんが愛されてきた理由
フリーアナウンサーとして活躍する宮根誠司さんも人生の恩人にたかじんさんを挙げ、話したのが次の言葉だった。 「たかじんさんに教えてもらったことは、たくさんあります。中でも、これは僕の“芯”みたいなものになってるんですけど『なんで、放送のことON AIRというか分かるか?』と。たかじんさんいわく『“AIR”というのは空気や。スタジオの空気が全部そのまま出ていくもんやねん。楽しむ時はオレらもホンマに楽しまな伝わらへんし、怒る時はホンマに怒らなアカン』と言われました」。 ■休養中も用意されていたたかじんさんの楽屋 テレビに映っているところだけでなく、裏側の空気も画面から伝わる。ごまかしはきかない。その考えはスタッフにも、出演者にも、しっかりと浸透し、たかじんさんが休養中もレギュラー番組を収録する際には、必ず局内に“やしきたかじん様”と札を下げた楽屋が用意され、弁当も運ばれ、楽屋前で頭を下げる出演者の姿もあった。 もちろん、楽屋の主が、姿を現すこともなければ、弁当に手をつけることもない。そして、あいさつに応える声もない。それでも、たかじんさんと共に番組を作っているんだという空気は、しっかりと“ON AIR”されていた。そして、これからもきっと“ON AIR”されていくことだろう。 ■中西正男(なかにし・まさお) 1974年大阪府枚方市生まれ。立命館大学卒業後、デイリースポーツ社に入社。大阪報道部で芸能担当記者となり、演芸、宝塚歌劇団などを取材。2012年9月に同社を退社後、株式会社KOZOクリエイターズに所属し、芸能記者に転身。現在、関西の人気番組「おはよう朝日です」に出演中。