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「大切な居場所取り戻したい」 岡山県内「子ども食堂」再開の動き 「密回避」と「交流」にジレンマも

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山陽新聞デジタル

 新型コロナウイルスの影響で休止していた県内の「子ども食堂」に再開の動きが出始めた。幅広い世代が集う地域コミュニティーの場として定着してきただけに、運営者は感染予防策に細心の注意を払いつつ、「3密」(密閉、密集、密接)の回避などの制限が「交流の妨げになるのではないか」とのジレンマを抱えている。 ひとり親家庭に食材を無料配布 笠岡NPO 子ども食堂休止で活動

■横並びで食事、時間短縮

 壁や窓に沿うように長机が置かれ、子どもや保護者らは横並びで食事をしていた。東山公園集会所(岡山市中区御成町)で、有志が毎月第3金曜に開いてきた「東山つながりキッチン」。3月以降休止していたが、6月から再開した。  本来は10人が囲める食卓を8カ所設け、70~80人が集まり、15人前後のスタッフが切り盛りする。午後8時まで開け、食事だけでなく、子どもらは思う存分に遊び、大人たちは会話を楽しむ。  新型コロナの影響下では参加者が密にならないよう会場のレイアウトを変更。時間は午後6時までに短縮し「食べたら帰る」形にした。  再開した19日は約40人が集まった。幼い子ども2人と訪れた母親(39)は「子どもたちが楽しみにしており、ここに来るようになって人見知りや食べ物の好き嫌いが改善された。私にとっても月1回息抜きできるかけがえのない場所。休止している間は気持ちが沈みがちだった。どんな形でも再開はうれしい」と喜んでいた。

■「大切な居場所」「『密』が大事」

  運営スタッフの女性(76)は「この活動が生きがい。コロナで家庭が大変な時こそ必要なのに開けず、悔しかった」。代表の原明子(めいこ)さんは「お盆に親戚が集まるような感じでやってきた。参加者にも、スタッフにも大切な居場所。食べて、遊んで、おしゃべりしてという当たり前の時間を早く取り戻したい」と思いを語った。  無料や低額で食事を提供する「子ども食堂」は県内では4年ほど前から広がり始め、現在は40カ所程度あるとされる。多くが月1回~数回、多世代が集まる地域コミュニティーの場で、大半が3月ごろから開けない状況が続いてきた。そうした中、県内各地の運営者ら約30人が今月13日、オンライン会議を開き、今後の運営について意見を交わした。  「食中毒も怖い時季だが、冷房と換気の兼ね合いが難しい」「これまでのように、子どもと一緒に料理することはできない」「感染予防のさまざまなルールで縛り付けることにならないか」「単に食事を提供するだけでなく、人がつながる場所であり『密』が大事。ソーシャルディスタンス(社会的距離)に気を使いながら本来の役割を果たせるのか」…。

■「いつもの空気感を」

 会議に参加した「博士の家 みんな食堂」(岡山市北区広瀬町)の代表山下明美さんは、7月から月3回(第2・3・4金曜)のペースで再開させる。  子どもたちには友達とのトランプや、おひつから自分で好きなだけご飯をよそうといった楽しみは、しばらくの間、我慢してもらわなければならないだろう。いつもと違う状況での再開だが、山下さんはこう思っている。  「どれだけ感染予防策を講じても不安はあるが、ここを必要としている人がいる。距離を取りながらも、ぬくもりを分かち合えるいつもの空気感を保っていきたい」

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