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ミシェル・オバマ:夫に搾取された妻たちが人生を取り戻すまで【グッドワイフのバッドライフ】

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ELLE ONLINE

幼いころから父と自分が信じたその賢さと勇気で自分のなりたいものに「なって」きた才女だった。 ところが仕事先でバラク・オバマと出会ってしまったことで、人生プランを変更せざるをえなくなる。バラクが強引に変えていく道筋に沿った自分に「なる」ことでベストな結果をもたらすことに決めた。

如何にバラクが無邪気にミシェルの人生を浸食していったのか。決して彼女がそれを甘んじて受け入れていたわけではないことがドキュメンタリーに端的に表れている。いくつもあるそんな瞬間のうち、とっておきのシーンはこのような感じだ。

米国史上まれにみる観客動員数を記録した出版記念ツアー。ある会場に夫バラクがゲストとして呼ばれる。しかしゲストの彼は口頭いちばん、キラキラしながら笑い話として「(ここに書かれていることは)僕の視点とは異なる」と口にしたのだ。それに反論する直後、顔を曇らせるミシェルをカメラは逃さなかった。監督の“匂わせ”手腕に脱帽するばかりだが、あの瞬間オバマからかぐわしいマンスプレイニングが香っていた。 カップルセラピーに通うことになったのも納得。

そもそもバラクは自分の偉業にミシェルの能力だけでなく、出自までも絡めとった。“奴隷の子孫”ではないバラクが、米国黒人層を取り込めたのはミシェルが文字通りの“奴隷の子孫”の役割をしっかり演じたから。言ってみればミシェルがバラクを大統領にしたようなもの。

そのことで彼女が負った黒人としての責任感は、彼女自身を自由な人間ではなく、黒人コミュニティを代表する立場にした。自分の行動を、黒人代表として、黒人コミュニティに所属するものとして「正しく」矯正する日々の苦労は想像して余りある。

また、政治家の妻という肩書のせいで、彼女の最たる魅力の一つである言葉も制限された事実がドキュメンタリーの彼女の言葉から垣間見られる。 彼女が大統領選がスタートした際、妻であるせいでトーンポリシングされたことを受け、自分の言葉を手放して台本を作るようになったのはその一例だ。

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