銀シャリ橋本直さん「細かいところが気になりすぎて」インタビュー 喋り言葉のテンションで「手が追いつかなかった」
結成20年「毎年どんどん楽しくなる」
――本のなかでは、奥様のことも書かれています。普段、橋本さんが結婚生活について語ることはほとんどないですね。生活に変化は。 もともと「銀シャリ」というコンビで「ニコイチ」みたいな考え方をしてきたので、「違う人と一緒にいる」という訓練は漫才師の生活でできていたんです。その蓄積があるから、「2人で一緒」という生活になっても、結婚相手とはそんな喧嘩にならない。向こうも向こうで、自由でやっています(笑)。相手は鹿児島で仕事を持っていたので、一緒に住んでまだ半年ぐらい。家に帰って、今日の出来事を喋れる人がいるのは、気持ち的にラクですね。 僕ら銀シャリは、朝起きて仕事に行く前に鰻が僕にLINEをすることになっている。僕たちは漫才の衣装が揃いの青いジャケットで、毎回同じもののように見えると思うが実は7種類くらいある。だから、今日の仕事の青ジャケはどの青ジャケにするか、それが問題だ、なのだ。 「初代」「二代目」に始まり最新の「新ジャケ」まで、鰻からはその日の入り時間とともに、合い言葉が送られてくる。「8時半 新ジャケ」のような感じだ。暗号のようでいて、緊迫感はゼロだ。 そのあとも一応ルールには続きがあって、僕がちゃんと起きていて鰻からのLINEを確認できていれば、「!」を送ることになっている。既読がつくだけでは二度寝している可能性があるからだ。 (本文より) ――さらに面白いのは、相方の鰻さんが、本の章ごとにシュールな4コマ漫画を描いている点です。 僕も面白かったです。心強いというか。毎回、文章を書いた後、鰻に読んでもらって、それに関連する漫画をどういうふうに描いてくれるのかが楽しみでした。2025年で結成20年を迎えます。「もう20年もやっているのか」って感慨を覚えますが、じつは毎年どんどん楽しくなっているんです。引き続き、漫才をしっかりやりたい。楽しく2人でやりたいですね。あとは僕、「上方漫才大賞」をとりたい。あれは狙ってとりにいけない賞。ノミネートで選ばれないといけないんで、こうやって自分から「とりたい」と言うようにしています。 ――関東に引っ越して、関西の笑いから遠ざかった気持ちはありますか。 いやいや! 東京に住まいを移しても、ほぼ毎週末には大阪のNGK(なんばグランド花月)に立っていますから。さっき(平日に取材)は、東京・新宿ルミネの舞台に立ってきましたけど、ルミネも、めちゃくちゃいいお客さんで。 ――そうか、もはや「銀シャリ」に東西の壁はないのですね。しかも劇場で観ていると、老若男女のファンがいますね。 ありがたいですよね。本当に。 ――(ルックス重視の)「ワーキャー」じゃないからこその強み。 いやいや、一回くらいは「ワーキャー」味わってみたいですよ(笑)。 ――(笑)最後に、今のお気持ちを。 僕は本屋さんめっちゃ好きで、今でもよく行くんです。とりあえず時間が空いたら本屋さん。昨日も新宿の紀伊國屋書店に行きました。もう見るだけでも楽しい。毎回行けば楽しい場所。ずっと昔から好きなんですよね、ちっちゃい町の本屋さんも。ちょっとした旅行感がある。読まなあかんのに、買っただけで読めてないものが多くなって、「積(つ)ん読」になって……。芸人エッセイもスポーツ系のノンフィクションも読みたいんです。 本って、一瞬で、その人の言いたいことがわかる。こんな手軽に簡単に買えるの、すごいと思うんです。僕、紙で買っちゃう。めくるの好きなんですよ。僕の初めての本が、大好きな場所に置かれるの、とても嬉しい。ホント感慨深いです。 <橋本直(はしもと・なお)さんプロフィール> 1980年、兵庫県伊丹市生まれ。関西学院大学経済学部を卒業後、2002年に吉本総合芸能学院(NSC)大阪校に25期生として入学。鰻(うなぎ)和弘さんと2005年「銀シャリ」を結成。2008年の「ABCお笑い新人グランプリ」で優秀新人賞を受賞。2010年に「NHK上方漫才コンテスト」で優勝。2016年の「M-1グランプリ」で優勝。 (文:加賀直樹)
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●銀シャリ産地直送漫才~47都道府県巡り~ 銀シャリが全国47都道府県を周るライブ! 全国ご当地漫才や、トーク・コーナー盛りだくさん! 鰻特製、ご当地ステッカーなどグッズもあります! 11/24(日) 熊本 2/2(日) 愛媛 詳しくはFANYチケットをご覧ください https://yoshimoto.funity.jp/kglist/?kw=%E9%8A%80%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AA
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