銀シャリ橋本直さん「細かいところが気になりすぎて」インタビュー 喋り言葉のテンションで「手が追いつかなかった」
「お笑いを諦め切るため」お笑いの道に
――「ゴッドタン」(テレビ東京系)では橋本さんに、即興で思いの限りツッコミを発揮してもらう企画が大好評です。「M-1」王者に輝いて、そのツッコミの実力が広く知れ渡りました。ところが橋本さん自身は本の中で、「お笑いを諦め切るためにお笑いの道に進むことを選んだ」と書いています。 お笑いが大好きで、「やりたい」と思っていたんですけど、でも勇気がない。おそらく、お笑い芸人にならずに普通に会社員として働く道を選んだとしても、テレビは好きなので観続ける。その先、たとえば自分の仕事がしんどくなった時、しんどくなったのは自分のせいなのに、「もしもお笑い芸人になっていたら、どういう人生だったかな?」って思いたくなかったんです。とりあえずお笑い芸人をやって、無理だった。そんな「無理だった証書」をあらかじめもらっておけば、別の仕事に就いても、その仕事を一所懸命頑張れると思ったんです。「とりあえずやってみよう」と。 ――「挑戦しない」よりも、「挑戦して無理だった」という人生のほうが良い、と。 「やらなくて無理やった」っていうのだと、ずっと心に残り続けて、「お笑い芸人をやっていたらどうだったか」が、より美化されて強大に膨らむと思ったんです。だから、その可能性を消しておく、って感じ。あと、お笑い芸人をやる道にいけば、(成功は)1%か0.01%か、道は限りなく狭いかも知れないけど、ゼロではない……。 ――そしてそれが「どうやら無理じゃないぞ」に変わってきた、と。 いやいや、ありがたいです。恵まれています。「26歳までにバイトを辞めへんかったら辞めよう」と思っていたんですけど、ギリギリ26歳ごろで賞レースに引っかかり始めました。バイトも辞められるようになって、それで何とか、大丈夫……なんですかね? とりあえずご飯を食べられる。それでもまだ、「30歳までに、もっとちゃんとなってないと、辞めよう」とは思っていました。「M-1優勝」で、たしかに「これで辞めなくていい」って感じにはなりました。