「なぜ、うちのマークがテレビに?」木村拓哉が25年ぶりの信長役に特別な親近感「木村家の家紋と同じ」
東映70周年を記念した新作映画の企画発表会見が21日、東京都内で開かれた。タイトルは「THE LEGEND & BUTTERFLY(レジェンド・アンド・バタフライ)」で来年1月27日に公開される。「魔王」と呼ばれながらも時に悩み苦しむ戦国武将・織田信長と、「帰蝶(きちょう)」の別名を持つ正室・濃姫との知られざる愛の物語。会見では主演の信長役・木村拓哉(49)とヒロイン濃姫役の綾瀬はるか(37)がお披露目された。 ◇ ◇ 「この映画、総事業費20億円でございます。私、稟議(りんぎ)に判をつくときに少し手が震えました。大丈夫かと。(でも)いけます! これは東映が本気でございますということを申し上げておきたい」。会見の冒頭であいさつした東映の手塚治社長の言葉には、並々ならぬ覚悟と自信がにじみ出ていた。 昨年9月に撮影を開始、今年1月にクランクアップ。来年のNHK大河ドラマ「どうする家康」を手がける古沢良太さん(48)が脚本を担当。「るろうに剣心」シリーズでアクションエンターテインメントの金字塔を打ち立てた大友啓史監督(56)がメガホンを取った。 社運をかけた巨大プロジェクト。運命共同体として主演に選んだのは木村だった。木村は時代劇初出演となったTBS系スペシャルドラマ「織田信長 天下を取ったバカ」(98年)で若き日の織田信長を演じたが、25年ぶりに挑む大役には特別な思い入れがあったという。 「たまたま木村家の家紋と織田家の家紋が全く同じの五瓜(ごか)に唐花(からはな)、世の中で言う『織田木瓜(おだもっこう)』。自分が幼少期に時代劇を後ろからのぞき見していたとき、なぜ、うちのマークがテレビに映っているんだろうと不思議に思っていたんですが、歴史を学んでいくうちに同じ家紋なんだと特別な親近感がありました」 撮影地は東映京都撮影所。2014年にテレビ朝日開局55周年記念ドラマスペシャル「宮本武蔵」に主演した際、木村は現場の職人たちの技術力や温かさに感銘を受けた。撮影所のスタッフも、妥協を許さず寡黙に現場をけん引する木村の姿に、往年の銀幕スターの面影を感じていたという。撮影が終了し「次は、信長でここに帰ってきたい」と言い残した木村。その願いをかなえるため、東映はこの男に社運を託すことを決めたのだった。 撮影が行われていた20年11月13日に、木村は誕生日を迎えた。49歳(数え年)は信長が生涯を終えたのと同じ年齢。本能寺の変のシーンの最中、大友監督から「まさしく(信長と)全く同じ年の時に同じ状況になったんだね」と言われ、感慨にふけった。 本能寺の変は、1582年6月21日に起きた。この日の会見も、同じ6月21日。木村は「440年前にあの事件があったとされているその日に、皆さまに(信長役を)お伝えできるというのも、非常に何かを思わせてくれるタイミングになっているなと思います」としみじみと語った。 信長という人物像については「生い立ちにしかり、その時代の流れとは逆行したような幼少期を過ごしていますし、親からの偏った愛情も受けていらっしゃる。風習やしきたりの中で平和に見える世の中に疑問を抱いて、初めて高らかに声を上げた人。その上げた声に、自分の行動を持って責任を果たした人。そのときに濃姫がいてくれたことによって、彼しか抱くことのなかった愛情があったのかも」と分析した。
中日スポーツ