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この事件、何かがおかしい。そして「障害」の可能性に気づいた|#供述弱者を知る

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Forbes JAPAN

劣等感が刻み込まれた過去の体験

秦「実際は本当の両親なんだよね」 角「それは間違いないです。裁判関係の公文書でそうなっていますから」 秦「なんでそんな嘘をつくんだろう。目的がよくわからないね」 角「再審請求書には『請求人(西山さん)は、両親の第3子長女として生まれた。兄2人は成績優秀であったが、(自身は)成績が悪く、劣等感を抱いて育った』とあるので、そういうことからだと思います。両親にも確かそう聞いた記憶があります」 後に本人から聞いてわかったことだが、西山さんには優秀な2人の兄と比較されることで劣等感が刻み込まれてしまった体験が、幼少期から中学時代まで繰り返された。 幼少期の体験としては、近隣に住む女性が母親に「出来のいいお兄ちゃんたちと違いすぎる、親子関係があるのかどうか、一度、DNA鑑定で調べてもらった方がいいんとちゃうか」と言ったことがあり、それを「お母さんがすぐに否定しなかったために深く傷ついた」(西山さん談)という体験だった。 それは西山さんが後に語ったことで、角記者と打ち合わせした当時は、両親を「本当の親ではない」と話す理由が、兄2人に対する劣等感と説明されても、その飛躍には違和感があった。近所の人がDNA鑑定まで持ち出して話した心ない言葉は、実は彼女がそのような嘘をつくきっかけだったのだ。 再審請求書には「人間関係が不器用」とあったが... さらに、角記者は続けた。 角「結婚する予定もないのに、結婚する、と同僚たちに言っていた、という話もあるんですよ」 秦「見栄で言うなら、分からなくはないよね」 角「いえ、それが結婚式で余興まで頼んでいた、というんですよ」 秦「それは驚くな。式はないんだから、バレるよな」 角「そうなんですよ。言われた方も、ずっと信じていたみたいなんです」 再び手元のパソコン画面に目を落とし、角記者は再審請求書を読み上げた。 「人間関係に不器用な請求人は、他人の関心を集めるため、あるいは見栄をはるために嘘を言う性癖がある。以前には友人に対し、結婚の話がないのに結婚するので披露宴で余興をしてほしい、と頼んだことがあった。本件病院の同僚たちに対しては、自分は両親とは血縁がなく実父母は既に亡くなっていて遺産を残してくれているとか、自分はバツイチの男性と同棲しているが、その男性の子供を引き取らなければならない等という嘘をついていた。同病院の同僚中、請求人と最も親しかった○○は、請求人が逮捕されたころまで、これらの嘘を真実であると信じ込んでいた」 思わず私は「うーん」とうなってしまった。大人がつく嘘としては、常軌を逸していた。誤解を避けるために説明すると、出所後、2年半以上取材してきた最近の西山さんが、このような突拍子もない嘘をつくことは皆無だった。

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