うま味調味料、既製品OK、レシピ無視 ラクで美味いを追求した『意識の低い自炊のすすめ』著者中川淳一郎さんが約20年かけて考案した自炊7箇条
『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)などの著書で知られるネットニュース編集者/PRプランナー/ライターの中川淳一郎さんが、2020年7月に刊行した書き下ろしの料理本『意識の低い自炊のすすめ 巣ごもり時代の命と家計を守るために』(星海社新書)。 なんとも刺激的なタイトルだが、中身も過激で「自炊なんてラクしてやればOK」と一貫してグータラ流を主張。意識高い系の料理専門家にケンカを売るような内容なのだ。 そこで今回は中川さんが「意識低い系」のための自炊7箇条を緊急提言! 世の料理に関する常識を覆すような、それでいて目から鱗がドバドバ落ちるような、ゆる~い自炊のコツを教えてもらった。
1.料理は好きな奴が作ればいい
仕事が多忙を極めているときですら、キッチンに立つことは苦に感じないという中川さん。料理が好きなことは間違いなさそうだ。まず自炊に対する心構えを伺ったところ、「家父長制的な“料理は母親が作るもの”という考えは捨てるべきだ」という答えが返ってきた。 中川さん:毎日の食事を作るのは中学生の長男でもいいし、父親でもいい。そもそも女性だからといって料理が得意とは限らないですしね。実際、うちも妻より私のほうが料理作りを好きなものだから、包丁を握るのは私。というか、彼女は料理ができない。では、もし妻も旦那も子供も料理を作るのが下手ならどうすればいいのか? 簡単です。毎食、お弁当屋やスーパーの総菜コーナーで買ってくればいいんです。 自炊本を出しておきながら、料理が嫌いなら外食でOK? 中川さんの意見は暴論に感じるかもしれないが、冷静に考えると合理的ではある。 実際、安くて美味しい屋台が多いタイでは自炊しない家庭が多いのだ(キッチンが備わっていない不動産物件も目立つ)。いずれにせよ、料理に関しては「~せねばならぬ」という発想をやめ、フレキシブルに考えたほうがいいのかもしれない。
中川さん:外食でもいいとは言いましたが、もちろん自炊をするメリットは大いにあります。たとえば私は今朝、うどんを作って食べました。これはスーパーで買ってきた春菊やしめじを大量投入しつつ、豚肉80g、卵1個、わかめ、それに刻みネギをかけたもの。おそらく単価は180円くらいで済んでいるはずです。 野菜をふんだんに使っているから栄養バランスもバッチリだし、腸内環境も整い免疫力も高まることでしょう。個人的にコロナ禍の理想食と考えています。 なるほど。たしかにこれなら栄養バランスも最高だし、コスパ的にも申し分なさそうだ。しかしここで調子に乗って高い海老などを入れてしまうと、単価800円オーバーなどといった悲劇も生みかねない。日曜日のお父さん料理がママから敬遠されることが多いのは、こうしたお財布感覚が欠如している点も大いにあると中川さんは指摘する。 中川さん:お父さんでありがちなのは、張り切って魚を3枚におろそうという愚行。イナダあたりでこれをやると、身がボロボロに崩れちゃって目も当てられないことになる。だったら、最初から刺身の状態で買えばいいだけじゃないですか。料理なんて好きな奴がやればいい。そして手を抜けるところは徹底して抜くべき。このことは頭に入れておいてほしいですね。