今年の景況感「見通せない」48% 企業トップから寄せられた100件の声
新型コロナ抜きには語れない2020年が過ぎ、迎えた2021年もその影響力は当面緩みそうにない。 果たしていつ終息するのか、オリンピック開催はどうなるのか、先行きが読めない時代は今に始まったことではないが、これほどまでに不透明感の強い年明けを迎えたことは近年あっただろうか。 こうした中、食品業界のリーダーアンケートを実施。多種多様な業態の企業トップから寄せられた回答は昨年を上回り、ちょうど100件に達した。
今年の景況感 半数が「見通せない」 カギは五輪とワクチン
例年と同じく、最初の質問では「今年の景況感」を尋ねた。 選択肢は「良くなる」「悪くなる」「現状維持」「見通せない」。 昨年までと大きく異なるのは「見通せない」との回答が48%と約半分を占めたことだ。その一方、これまでほぼ毎年、半数に達していた「現状維持」は今回23%まで減った。「良くなる」(11%)と「悪くなる」(18%)は昨年とほぼ同じ割合であった。 冒頭で述べた通り、コロナ禍でますます先行きが見えない現状を表した結果だと言える。「今まで経験したことのない状況で、見通しを立てられるだけの根拠が見当たらない」「GoTo施策や消費マインドに左右される部分が大きく、見通せない」と不透明感の強い現状を指摘する声が多かった。 また、「延期されたオリンピックが開催されれば、人の流れの再開、購買意欲の高まりが期待できる」「ワクチンなどでウイルスへ対応できれば、一気に改善する可能性がある」など、五輪の開催とワクチン接種の行方をカギとする回答も目立った。 昨年は「良くなる」が「悪くなる」より4ポイント低かったが、今年はその差が7ポイントに広がった。 「良くなる」の理由は「後半にはコロナ以前の状況まで回復する可能性がある」「外食業界や小売業界の省力化、生産性向上のため設備投資が積極的になると考えられる」「家庭料理をいかに楽しむかという新しい需要も予感され、工夫を凝らした商品開発が進むのでは」と新たな投資や需要を見込んだ声、「ここまで下がったので今年は上がると考えたい」という期待も見られた。 「悪くなる」の理由は「外食業界は引き続き厳しいだろう」「営業をやめる商店が増える」と外食業態などの低迷が続くとの予測、それに伴う雇用環境の悪化が挙がった。 「雇用動向が見通せず、購買金額がシビアになると思われる」「コロナの長期化による節約志向の高まりは懸念事項」など雇用不安が結果として消費に影響するというものだ。 「現状維持」では「カテゴリーによる凸凹はあるが、この消費動向の変化は傾向として当面持続する」「内食志向が当分続き、拡大した調味料や加工食品の市場規模はある程度維持される」などコロナによって変化した消費動向が今年も続くという見方が多い。 そのほか「五輪開催と経済的な打撃の相殺により現状維持」「市場動向は不確実だが、業界全体で行動変化に応じた需要喚起策に取り組んでおり、現状維持が続くと考える」という意見がみられた。