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【詳細データテスト】ポルシェ・タイカン 正真正銘ポルシェのスポーツカーでありドライバーズカー 重量を感じさせない走りと快適性 デジタル偏重の内装は使い勝手に劣る

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AUTOCAR JAPAN

はじめに

今週取り上げる1900万円オーバーで760psオーバーの電気自動車、ポルシェ・タイカン・ターボSについて、まず理解しておくべきことは多い。 【写真】ポルシェ・タイカンとライバル (15枚) このクルマ、正真正銘のポルシェ製ではある。とはいうものの、ポルシェ信者や、かなりのカーマニアであっても、容易に受け入れられるものではないだろう。 ところが、シュトゥットガルトはツッフェンハウゼンに構えるポルシェプラッツ1に籍を置く面々は、このタイカンをなによりもまずスポーツカーであると考えている。おそらくは、これがもっとも重要だ。 高速サルーンやスマートな高級GTではないのだ。4枚のドアと、非常に実用的なキャビンを備えているにもかかわらず。また、目新しいだけのにぎやかしやブランドを無駄にアピールするだけの徒花、はたまたタイヤのついた戦略ミサイル的な、新興EVメーカーに多くみられる一発屋なクルマでもない。 ポルシェの主張によるなら、タイカンは間違いなくポルシェの名にふさわしいスポーツカーだということになる。たとえその中身が、これまでのポルシェより斬新だったとしてもだ。 ポルシェは、このクルマの発売に向けたプランを慎重に進めてきた。旧来の顧客を安心させるべく、内燃エンジンを積む911や718の生産を急に終了して、電動化を望まない相手に電気モーターを乗せたクルマを買うよう無理強いする道は選ばなかったのだ。 とはいえ、昨年のタイカン発表の席上で、ポルシェを率いるオリバー・ブルーメは、このクルマと、彼の会社に訪れた「新時代」を歓迎しているムードを強く打ち出している。 われわれは今回、タイカンの最上級バージョンをテストする。ここでは、見た目からサイズや重量、走行性能や使い勝手など、オートカーの厳密な基準で計測・評価する。主観的にも客観的にも精査し、このクルマへの理解を深めていきたい。

意匠と技術 ★★★★★★★★★☆

EVには電気モーターとバッテリーをはじめ、ガソリン車とは異なるハードウェアが必要だ。それらを一般的な乗用車が備えるスペースに、ガソリン車より車体を大きくしたり、実用性を低下させたりせずに積み込まなければならない。 この10年ほどで、第一波となる電動化に携わってきた設計者たちは、徐々にその不利を解消しつつある。それでも、完全に克服できているわけではない。 しかしタイカンは、まずその点からして異なっている。このクルマは、ポルシェのラインナップにおいて立ち位置の近いパナメーラより全長は短く、ルーフは低い4ドアのスポーツクーペとして成立しているのだ。 それを可能にしたのが、バッテリーの高度な設計である。EVに用いられるスケートボードのような駆動用バッテリーは、その上に乗るキャビンの容積を侵食してしまいがちだ。 ところがタイカンの93.4kWhリチウムイオンバッテリーパックには、ポルシェがフットガレージと称する、足を置くためのくぼみが設けられ、前後席とも低くすることに寄与する。キャビンとフロアを明確な2段重ねにせず、乗員とバッテリーが同じ階層を共有できるよう目指した設計は、競合する大型EVでもこれまでなしえなかったものだ。 電動化技術の革新性は、まだまだこれにとどまらない。タイカンは量産乗用EVとしてはじめて、800Vシステムを採用。これにより。まずは2基の電気モーターへ電力を供給するケーブルを、ほかのEVより細く軽いものにすることができる。 さらに、有償オプションではあるが最大270kWhの急速充電に対応し、ゼロからのフル充電が30分程度でできるようになった。また、減速時のエネルギー回生も早い。同じエネルギー量なら、2011年の987型ケイマンRが、7000rpmで最大加速した際に消費するより短い時間で、体幹はそれを回収できるはずだ。 2基の交流同期モーターは、前後アクスルに1基ずつ設置される。ステーターに長方形ワイアを組み合わせたヘアピンコイルを採用し、エネルギー密度を大きく高めた。 フロントはオープンデフを介してダイレクトに、リアは2速ATとトルクベクタリング機構を備えるeデフを介して、それぞれのアクスルを駆動。ターボSグレードでは最高出力761ps、最大トルク107.0kg-mを謳うが、フルに発揮されるのはローンチコントロールを用いて発進する短い間だけだ。 サスペンションは、車高調整可能な3チャンバー式エアスプリングと、アダプティブダンパーを採用。スタビライザーもアクティブ制御で、ターボSではさらに、アクティブ四輪操舵も標準装備される。 ターボSには、重量削減に寄与するカーボンセラミックブレーキも標準装備。シャシーはアルミとスティールの混成だ。それでも、これは予想どおり、非常に重たいスポーツカーだ。前後重量配分はほぼパーフェクトなバランスで、テスト車の車両重量は公称値を60kg上回る2355kg。これより重いポルシェは、プラグインハイブリッドのカイエンのみだ。

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