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中国、コロナ治療に「熊の胆」入りの薬推奨 各国の環境保護団体が反発

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 二日酔いや食欲不振など消化器系の万能薬と知られる「熊の胆(くまのい)」の使用を巡り、各国の環境保護団体が反発している。中国当局が、新型コロナウイルス感染症の治療法の一つとして、熊の胆が入った薬を推奨したからだ。中国に比較的広く生息するツキノワグマは、国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定し、ワシントン条約で国際的な商取引が禁止されいる。だが、熊の胆を目的とした密猟や人工飼育する施設は後を絶たず、環境団体は取引禁止を訴えている。(共同通信=杉田正史)  ▽「万能薬」  中国政府の衛生健康委員会が今年3月、新型コロナ感染症の治療方法を例示した文書を公表した。その中で、発熱や息苦しさがある患者に使うよう勧めた「痰熱清注射液」という薬の成分を環境団体が調べると、ヤギの角や植物のスイカズラなどに加え、熊の胆の粉末が含まれることが確認された。  熊の胆は、ツキノワグマやヒグマの胆汁が入った臓器「胆のう」を乾燥させたもの。奈良時代、遣唐使が日本に伝え、江戸時代には消化機能を改善させるといった万能薬として大衆に広がったとされる。熊の胆の主な有効成分は「ウルソデオキシコール酸」と命名されて、1950年代には化学合成による薬の販売が始まった。

 ▽クマ工場  中国にはツキノワグマやヒグマなどが生息し、特にツキノワグマはIUCNが世界全体を評価して絶滅危惧種に分類している。  IUCNは、中国では熊の胆や食材需要がある手のひらが目当ての密猟が大きな脅威だと指摘する。密猟で個体数が減ったとみられる地域もあるという。さらに中国やインドでは、クマを狭いおりに閉じ込め、体に穴を開けてチューブで胆汁を取る「クマ工場」を経営する業者がいるとして国際的に問題視されている。  ツキノワグマは体長約1・5メートル、体重40~130キログラムで、日本国内では本州や四国に8400~1万2600頭が生息している。野生生物取引監視団体「トラフィック・イーストアジア・ジャパン」(東京)のホームページによると、日本でも、国内で狩猟や有害獣として捕殺した熊の胆の取引に制限はなく、合法か密輸かの判別ができず、流通経路が不透明だという。取引価格は、1グラム当たり1600~10500円で、丸ごとの熊の胆1個は20万~40万円もする。

 ▽中国の国内からも  新型コロナの感染が広がっていた2月、中国の現地メディアでは、新型コロナ対応の支援物資として、合計で166万元(約2500万円)相当の熊の胆の粉末を病院に送る動きも報じられた。  中国の動物保護団体の関係者は、熊の胆の有効成分は化学合成できるのではないかと指摘し、「新型コロナの薬のリストから熊の胆が入ったものを外すことが望まれる」と強調した。米国の環境団体、環境調査エージェンシー(EIA)も「中国国内でも、医療での野生動物の利用に多くの人が反対だとの調査結果がある。絶滅の恐れがある動物の体の一部や製品の取引を禁止すべきだ」としている。

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