“4万円”ホットプレート⇒超高級なのに家庭で大ヒット!開発担当者が明かす「プロ級の機能性」
何十回も試作を重ねて完成!家庭でプロの焼き加減を実現できるワケ
「BALMUDA The Plate Pro」の開発にあたっては、従来のホットプレートが抱える課題を徹底的に見直した。一般的なホットプレートは設定温度が安定せず、高温になりすぎたり低温になりすぎたりするケースが多い。特に、薄いプレートでは食材を載せると急激に温度が下がり、調理結果に影響を与えることもあった。 この問題を解決するため、「BALMUDA The Plate Pro」ではマイコンによるPID制御を採用した。設定温度から±5度以内の精度で安定した調理が可能となり、ステーキや野菜を均一に焼き上げることができる。 「プレートの厚みや材質、表面加工については試作を40種類以上行い、最適なものを採用しました。これにより、熱の伝わり方や蓄熱性が格段に向上しました。また、岡嶋シェフが日々調理を行いながら味を確認するというプロセスも取り入れたことで、家庭でプロの焼き加減を実現できる製品が完成しました」(岸本さん)
裏テーマは“お父さんがヒーローになれるホットプレート”
バルミューダ製品の特徴といえば、その美しいデザインだ。「BALMUDA The Plate Pro」にもその哲学が貫かれている。家庭で使うシーンを考慮しつつも、プロ仕様の高級感を損なわないシンプルで洗練されたデザインに仕上げられている。 「デザインの裏テーマは、『お父さんがヒーローになれるホットプレート』。週末に家族で囲む食卓をイメージして、使いやすさと特別感を両立させました」(比嘉さん) 実際、ホットプレートの購入者層は他の製品に比べて、40~50代の男性が多いという。自宅でライブキッチンを実現できるデザインが、「週末料理」に憧れる男性層に刺さったようだ。
4万円台という価格に社内から懸念の声も「一切妥協しなかった」
日本国内のホットプレート市場は比較的小規模で、1万円以下のものも多い。そんな中で「BALMUDA The Plate Pro」は約4万円という挑戦的な価格で登場した。この価格帯の設定については、社内でも多くの議論が交わされたという。 「一般的なホットプレートではアルミニウム(厚さ3mm前後)がよく使われますが、BALMUDA The Plate Proはステンレス・アルミ・ステンレスの3層構造、厚み6.6mmのクラッドプレートを採用しました。これは素材の質に徹底的にこだわった結果です。高品質な鍋やフライパンと同様に、『調理器具』としての価値に重点を置いてホットプレートを設計しました。そのため、材質、厚み、そして見た目に一切の妥協をしませんでした」と開発チームは語る。 また、販売に際しても製品の「体験価値」を重視した。販売前の商談では、単に説明を行うだけでなく、バイヤーの前で実際に調理し、試食してもらうプロセスを取り入れた。その結果、価格に対する懸念はほとんど出ず、従来にない価値提案として高い評価を得たという。 2023年10月の発売直後から「肉がおいしく焼ける」「料理を熱々のまま食べられる」などと注目を集め、発売初週で累計出荷台数が5000台を突破。さらに、年末から年明けにかけてクリスマスやお正月、バレンタインなどのパーティー需要も追い風となり、3か月で1万5000台、1年で4万5000台を突破した。