「帝王切開があってよかった。」産科麻酔科医ママが語る理由
女性のライフスタイルの変化により、年々、帝王切開で出産するママが増えています。とはいえ、お腹と子宮を切開すると聞くと、不安を感じるママや家族も多いでしょう。お産を愛する麻酔科医・山﨑ゆか医師は「帝王切開というお産があってよかった」と語ります。幸せな妊娠・出産のために知っておきたい、「帝王切開」の正しい知識を解説します。
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今や4~5人に1人が「帝王切開」で出産
お産には「経膣分娩」と「帝王切開」の二通りがあります。妊娠すれば自然に経腟分娩で生まれるものだと想像しているママは多いのではないでしょうか。でも実は日本では4~5人にひとりが帝王切開です。諸外国と比べると日本の帝王切開率は低いものの、産むママの変化とリスクを回避しようとする社会情勢により増加の一途を辿っています。 女性のライフスタイルが変化した結果、晩産化、少子化、高齢出産が増え、妊娠時に合併症のある妊婦が増えています。逆子や双子のように以前は経膣分娩もされていたケースも、現在は安全のために帝王切開を選ぶ傾向にあります。
帝王切開になるのはどんなとき?
■もともと帝王切開を予定したケースと、急遽帝王切開になるケース 帝王切開とは、ママか赤ちゃんに何らかの問題が生じて経膣分娩ができない場合にお腹と子宮を切開して赤ちゃんを取り出す手術です。 では、どのような状況で帝王切開になるのでしょうか。帝王切開には、あらかじめ手術が決まっている「予定帝王切開」と、経膣分娩の途中またはお産の前に問題が生じて帝王切開に切り替える「緊急帝王切開」があります。 前者は双子や三つ子などの多胎、逆子、胎盤が子宮口をふさいでいる前置胎盤、子宮筋腫などの子宮の手術の既往、前回帝王切開の既往、ママや赤ちゃんに合併症がある場合などに行います。 後者は長時間分娩が進まない、胎盤が剥がれて赤ちゃんに酸素が運ばれない(常位胎盤早期剥離)、妊娠により重度の高血圧になった(妊娠高血圧症候群)、赤ちゃんの状態が悪い、赤ちゃんが未熟、へその緒の圧迫など予定外のことが起こり、母子を助けるために早急にお産をしなくてはならない状況です。 特に緊急帝王切開の場合はママも赤ちゃんも救うために、ママの理解も納得も、家族の立ち会いも追いつかない、気持ちの整理を待っている時間もないことが多く、産後も自分がなぜ帝王切開になったのかわからないままになることがあります。 予定の手術であっても、お腹を切られることへの不安、麻酔への不安、どんな感触になるのかへの不安、術後の痛みへの不安、帝王切開は二度目三度目というママでも前回のトラウマのせいで不安が強い方に出会います。