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反発の声もあった「社員を個人事業主に」 それでも改革を進めたタニタ社長の”真意”

配信

PHP Online 衆知(THE21)

「やらされ感」がなくなり主体性が持てるように

――もっとも、残業規制以上に仕事をするのを許していたら、法律違反になる。どうすればよいか。谷田氏が行き着いた答えが、「希望する社員だけを個人事業主にする」ことだった。 谷田「個人事業主になれば、働きたい人は合法的にやりたいだけ働けます。あくまで合意があった人だけに絞れば、長時間労働を無理強いするようなことにはなりません。 もっとも、労働時間で判断されない働き方になりますから、自然と生産性を意識するようになるでしょう。もちろん、働きたくなければ、仕事を断って、仕事量をコントロールすることもできます」 ――自分の意思で働きたいだけ働く――こうした「主体性を持った働き方」を実現することが、このプロジェクトの狙いだ。それは、本来、働き方改革が目指すべきことでもある。 谷田「私もそうですが、主体性を持って働くようになると、やらされ感がないので、ストレスが少なくなります。弊社も、健康企業といいながら、他社と同じく、メンタル不調に陥る社員が定期的にいたのですが、その理由は、長時間労働だけでなく、『仕事にやらされ感があるから』だと考えています。 個人事業主になれば、それはなくなります。実は、個人事業主になれる仕組みは、メンタル不調の防止策にもなるのではないか、と考えています」

人材流出のリスクよりゆるくつながるメリット

――社員を個人事業主にすることは、会社から見れば、諸刃の剣でもある。個人事業主になると、元社員は、自分がやりたいと思えば、他社の仕事もすることができる。会社は、それを制限することはできない。 社外の仕事をすることで、これまでできなかったようなスキルアップにつながる可能性がある一方、タニタの仕事の割合が減ったり、他社に転職したりというリスクもある。しかし、谷田氏は転職する人が出ても、それでいいという。 谷田「タニタと定期的に仕事をする関係ではなくなったとしても、ゆるやかにつながっていて、また何かの機会に仕事ができる関係になれればと思っています。 最近、社外の人とプロジェクトごとにコラボしたほうが、ビジネスはうまくいくと感じているのですが、タニタ出身者とも同じことができればいいですね」 ――実は、このような「ゆるやかな関係を築く」という考えは、こうした他社とのつきあいから学んだそうだ。 谷田「もともと、社員を個人事業主にするアイデアは、『経営不振に陥ったときにリカバリーするにはどうしたらよいか』と考えた末、行き着いたものです。 経営が傾いたとき、優秀な人材を社員として引き留めるのは難しいですが、社員に独立してもらって、タニタの仕事を引き続きお願いするような関係になれれば、経営不振を乗り越えられるかもしれない、と思ったのです。長年そのアイデアを温めていましたが、思わぬ形で、働き方改革にもつながると気づきました」

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