足の冷え症対策は温めるだけではダメ。改善のコツと温活アイテムの使い方
女性だけでなく、男性も高齢になるにつれて、冷えを自覚することが多くなります。しかし、世間には「冷え症」に関する間違った情報が多いのが現状です。 この記事では、特に男女共通の冷えで困りやすい足の冷えについて正しい知識と対処法について解説します。
1.冷え性と冷え症の違い
「冷え」は誰にでも起こる客観的な状態、または感覚を引き起こす現象です。「冷え性」という言葉は、日本以外にはない日本独自の概念で、明治時代に初めて小説に登場した俗語です。一方、「冷え症」という言葉が使われたのは、昭和中期以降です。 両者の違いは、西洋医学と東洋医学をひもとくと見えてきます。西洋医学では「冷えに過敏な性質」つまり冷感過敏症を表す単なる主観的症状と捉え、診断や治療の研究はなおざりにされてきました。一方、漢方医学では「冷え」は「未病」の一つとして重要な症状と捉えていたため、「冷え症」も治療対象としてきました。 つまり、冷え性は西洋医学的に見て「体質」を指し、冷え症は東洋医学的な考えとして治療が必要な場合を指すといえるでしょう。しかし、大事なのは「冷え性」も「冷え症」も共に客観的な診断基準ではなく、「冷えが苦痛である」という主観的な自覚症状により診断される病態ということです。
2.冷え症の「冷えのパターン」
筆者は、1997年に日本で最初に「冷え症外来」を開いた北里研究所東洋医学総合研究所で「冷え症」の病態を日本の伝統医学と現代医学的な研究から解明してきました。 その結果、人の冷え方には基本の4タイプとそれ以外2タイプの6つのパターンがあるとわかり、以下のように命名しました。 <人の冷え方のパターン> 【基本のタイプと症状】 ①下半身型:下半身、特に足が冷え、時に上半身がのぼせるタイプ ②四肢末端型:手足の末梢(まっしょう)が氷のように冷えるタイプ ③内臓型:新たに発見した、皮膚など体の表面は温かいのに腹部など体内が冷えるタイプ ④全身型:身体の表面も内部も冷えるタイプ 【その他のタイプと症状】 ⑤局所型:体の一部で局所のみが冷えるタイプ ⑥混合型:基本4タイプのうち異なる2タイプの冷えが混在するタイプ 冷え症の冷えタイプもこの分類と同じで、冷え症か冷え症でないかは、その冷えを苦痛に感じているかどうかの違いなのです。