不穏な世の中映し?豊作 スリラー、ホラー:総まくり2024年
2024年もたくさんの映画が、私たち映画ファンを楽しませてくれました。ひとシネマのライター陣が、映画、動画配信サービスの作品から今年の10本、そして2025年への期待を語ります。 【写真】恐怖映画になりうるテーマが世界中にあふれかえっている 「Cloud クラウド」の一場面
映画ライター・高橋諭治さんが選んだ今年の10本
「HOW TO BLOW UP」(ダニエル・ゴールドハーバー監督) 「マンティコア 怪物」(カルロス・ベルムト監督) 「人間の境界」(アグニエシュカ・ホランド監督) 「12日の殺人」(ドミニク・モル監督) 「関心領域」(ジョナサン・グレイザー監督) 「破墓/パミョ」(チャン・ジェヒョン監督) 「シビル・ウォー アメリカ最後の日」(アレックス・ガーランド監督) 「彼方のうた」(杉田協士監督) 「Cloud クラウド」(黒沢清監督) 「レベル・リッジ」(Netflix/ジェレミー・ソルニエ監督)
「レベル・リッジ」が出色
このような年末振り返り企画では、つい自分の専門ジャンルであるスリラー、ホラーをたくさん選んでしまうのだが、2024年は例年以上に国際色豊かな作品が並んだ。恐怖映画になりうるテーマが世界中にあふれかえっている不穏な時代、それが現代なのかもしれない。A24やNEONといった勢いのある独立系映画会社が、このジャンルにますます注力していることも大きい。 配信作品で唯一選出した「レベル・リッジ」は出色の出来栄え。アメリカのスモールタウンを舞台にした警察腐敗ものなのだが、はからずも悪に抵抗することになる主人公とその協力者のキャラクターに真実味があり、必要最小限にとどめたアクション描写の切れ味も素晴らしかった。
映画ライター 高橋諭治