日銀が「新薬」開発? 金融緩和ではない次の一手
●「深掘り」より効果的?
こうした潮目の変化は、日本の経済政策に影響を与える可能性があります。これまでの黒田総裁の発言に鑑みると、日銀が金融政策の限界を認め、政府に拡張的な財政政策を促す姿は何とも想像し難いですが、G20などの国際的な場で財政政策の有効性がより一層共有されれば、そこでの言葉を借りる形で拡張的財政政策に前向きな姿勢を示すことはできます。 これは日銀が持つ唯一の景気刺激ツール、すなわち「新薬」です。特に、日銀が政策の波及経路の一つとしている株式市場のリスクプレミアム圧縮(率直にいうと株価上昇)を考えた場合、逆効果すら疑われるマイナス金利深掘りよりも財政政策への働きかけという名の「新薬」の方が効果的でしょう。
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